AU712形による冷房化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:51 UTC 版)
「国鉄103系電車」の記事における「AU712形による冷房化」の解説
国鉄時代から非冷房車に対して冷房改造工事を行ったが、従来からのAU75系冷房装置での改造は構体の補強なども踏まえ、1両あたり2000万円から3000万円の費用と2か月から3か月の改造時間を要した。そこでJR九州が1987年(昭和62年)度から冷房能力18000 kcal/h×2の床置きタイプのAU2Xを開発し費用・工期ともに三分の一で改造できるようになり、冷房化率100 %を達成した。しかし、乗客の多い通勤形電車の場合の必要な冷房能力を計算したところ240 %乗車時に30 %の人が快適と感じるには42000 kcal/hの能力が必要である。これらを考慮してJR東日本では同年9月に分散冷房装置日立FTUR-300-102形が試作され、サハ103-128の屋根上に2基が設置された。 1988年(昭和63年)度からは、同様な屋根上配置のAU712形冷房装置(冷房能力21000 kcal/h×2)を開発して冷房改造を進めた。従来のAU75系列での改造に代わって正式採用され、1990年までに331両が改造された。 当初の冷房用電源はモハ102形に搭載されるMGによったが、同年下期からは自車給電用として屋根上にSC24形補助電源装置 (SIV) が設置された。 自車給電SIV搭載車では他車供給用の引き通し線は持たず、Mc-M'-T-Tcの編成でT車以外の各車がAU75系搭載車、T車がAU712形搭載のSIV電源車の場合、T車に引き通し線がないためTc車で冷房が使用できなかった。サハ103形3000番台は、AU712での冷房改造の際にSIVと引き通し線が併設されている。 MG給電車は2005年(平成17年)にモハ103-185+モハ102-340の廃車により営業車両から退き、SIV搭載車は0番台は2004年にクハ103-125の廃車で消滅し、3000番台も2005年に全廃された。側面の行先表示機の設置も行われたが、その対象は一部に留まっている。クハ103の偶数向き車は原則設置されず、仙石線更新工事施行車に後付けされた例があるのみで、SIV搭載型に至ってはクモハ103と3000番台の両先頭車だけであった。
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