ACT-R とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/27 05:26 UTC 版)
他の有力な認知アーキテクチャ(Soar、CLARION(英語版)、EPIC(英語版)など)と同様、ACT-R 理論には専用言語のインタプリタという形態の計算可能な実装がある。インタプリタ自体はLISP言語で書かれており、一般的なLISP言語処理系で実行可能である。 従って、研究者が ACT-R のウェブサイトからコードをダウンロードして LISP 処理系上で実行すれば、ACT-R インタプリタの形式でその理論に触れることが可能である。 また、これによって ACT-R 言語のスクリプトという形式で人間の認知モデルを指定することも可能である。言語の基本構文とデータ型は認知に関する理論的前提を反映するよう設計されている。それらの前提は、認知心理学の実験や脳画像処理で得られた多くの知見に基づいている。 一般のプログラミング言語と同様、ACT-R はフレームワークである。タスク(例えば、ハノイの塔、テキストや単語の記憶、言語理解、コミュニケーション、航空機の制御など)毎に ACT-R 上で「モデル」(すなわち、プログラム)を作成する。これらのモデルは、ACT-R の持つ認知についての観点内でのモデル作成者の前提を反映している。作成されたモデルは実行される。 モデルを実行することは、認知の個々の操作(すなわち、記憶の処理と検索、視聴覚の処理、運動制御、精神像操作など)を指定する人間の行為の逐次的シミュレーションを行うことと等しい。各ステップには実行時間と正確度に関する量的予測が関連付けられている。実験で収集されたデータとモデルの実行結果を比較することで、そのモデルを評価することができる。 近年、ACT-R は fMRI によって得られるような脳内の活性化パターンの量的予測も行えるよう拡張された。特に ACT-R は、運動皮質の目と口に関する部分、左前頭前皮質、前帯状皮質、基底核などの脳内各部の正確な反応形態と反応時間を予測することに注力してきた。
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