ABCDEアプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 09:05 UTC 版)
「外傷初期診療ガイドライン日本版」の記事における「ABCDEアプローチ」の解説
プライマリー・サーベイは、ABCDEアプローチに基づいて進められる。これは、下記の通りのものである。 A:airway 気道評価・確保と頚椎保護。気道の確保を困難にする要素。すなわち上顎・下顎骨折、顔面損傷、気道内異物。 B:breathing 呼吸評価と致命的な胸部外傷の処置。呼吸を阻害する病態。すなわち、フレイルチェスト、開放性気胸、緊張性気胸、大量血胸など。 C:circulation 循環評価および蘇生と止血。正常な循環を妨げる病態。ショック、心タンポナーデ、緊張性気胸に留意する。この際、腹腔内出血および胸腔内液体貯留・心嚢液貯留の検出のため、FAST検査が行なわれる。 D:dysfunction of CNS 生命を脅かす中枢神経障害の評価。中枢神経系の機能を評価する。意識レベル、瞳孔所見、片麻痺などの所見に留意する。なお、搬入後、グラスゴー・コーマ・スケールで2点以上の低下が見られた グラスゴー・コーマ・スケールの合計が8点以下である 瞳孔不同やクッシング現象がある のいずれかの徴候がある場合、切迫するD状態と呼ばれ、ABCが安定し次第、頭部CT検査と脳神経外科医による対処を行なうこととされている。 E:exposure & environmental control 脱衣と体温管理。脱衣による外出血や開放創の有無の観察、およびその後の体温管理(低体温の防止)。 この手順は線形アルゴリズムであり、初療時の優先順位を示したものであるが、実際の臨床現場では医師が複数いるなどの場合、できるだけ同時にアプローチすることとされている。 なお、ABCDEアプローチの前半部は、心肺蘇生におけるABCに準じたものになっている。心肺蘇生のABCは A:気道確保 B:人工呼吸 C:心臓マッサージ を表しているが、外傷診療におけるABCは「それらを脅かす要素」を意味している。
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