2019年の北朝鮮漁船衝突事件
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「大和堆」の記事における「2019年の北朝鮮漁船衝突事件」の解説
2019年(令和元年)10月7日、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で違法操業をしていた北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)漁業船団の母船とみられる大型鋼船は、排除活動を執る水産庁の漁業取締船「おおくに」に対して挑発するような動きを繰り返した挙句の、午前9時7分、北緯40°東経135°付近にて、おおくにのバルバスバウに左舷中央部から突っ込む形で衝突してきた。衝突が故意であったか判断ミスによる事故であったかは判然としない。鋼船は老朽化して腐蝕の進んでいた船体に亀裂が入って浸水し始め、約20分後に沈没した。約60名と漁業を行うには多すぎる人数の乗組員たちは海に投げ出されたが、おおくに(あるいは、おおくにと海上保安庁の救助活動を受けて命を落とす者はいなかったとみられる。おおくにの救命筏(きゅうめいいかだ)に乗り込んだ彼らは、遅れて現れた別の鋼船が引き取っていった。 北朝鮮のいつもの遣り口ではあるが、後日、日本が意図的に漁船を沈没させたとして損害賠償と再発防止策を要求してきた。これに対して水産庁は事実を捉えた当時の映像を同月18日に公開して反論した。海洋問題研究家の山田吉彦は、この件での北朝鮮の動きを、厳しさを増した日本の取り締まりに抵抗してみせるプロパガンダと見た。水産庁が撮影した映像を見た山田は、衝突してきた船が最新のレーダーを搭載しているのを確認できるとし、水産庁の漁業取締船の動きを把握したうえで挑発していたと分析する。乗組員が多いのは、この船を母船として漁民は周りの比較的小型の船に乗り移って操業するのではないかと推定した。また、海上保安庁の負担の増加を懸念しながらも、危険を伴う国境最前線の警備は、この事件の発生時がそうであったように民間人が操船していることのある水産庁の漁業取締船ではなく、民間人がいない海上保安庁の巡視船が行うべきと指摘した。
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