2重キール設計 (1986年)
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「フリーダム宇宙ステーション」の記事における「2重キール設計 (1986年)」の解説
1986年3月、システム要求検討会議で、より良い微小重力環境が得られるようにモジュールをトラス中央の重心に近い場所に移し、2組の大きなキールでトラス構造の量を増加した「2重キール "Dual-Keel"」設計に構成を修正した。国際協力体制が組織されたので、アメリカの研究モジュールは2つから1つに減らされ、代わりにヨーロッパと日本のモジュールの設置場所が加えられた。さらに、設計の無駄を改善するために全面的な「洗い落とし "scrubbed"」作業が行われ、多くのシステムが修正または削除された。宇宙ステーションに備え付ける予定だった軌道間輸送機は延期され、居住モジュールは8名の乗員が利用するものを1つだけ設置することになった。 1986年5月にNASAは、組立初期段階で乗員が滞在できない状態の宇宙ステーションを、スペースシャトルのドッキング中に作業を行うことで研究活動に利用できるようにする組立計画を作成した。この状態は「訪問(man-tended)宇宙ステーション」とも呼ばれた。 スペースシャトルチャレンジャー号の事故の後、宇宙ステーションの有効性と安全性を再評価し、設計を見直すために、評価決定作業チームが編成された。「チャレンジャー事故後」に検討された安全対策を踏まえ、細部設計や組立手順の変更を考慮しつつ、2重キール設計を使うかどうかが検討された。ジョンソン宇宙センターは、宇宙ステーションの組立に必要な船外活動の量と、チャレンジャー事故後の安全策のためにシャトルの輸送能力が低下していることに懸念を表明した。 1986年9月に、「チャレンジャー事故後」の基本計画を踏まえた、計画費用見直し報告書が作成された。この報告は、NASAが確実な根拠を持って費用とスケジュールを確定することを目的としていた。報告書では、2重キール構成の費用は182億米ドル(1989年の価値)で、初回要素打ち上げ(first-element launch: FEL)の時期が当初の1993年1月から、1994年1月にずれ込むことが明らかになった。
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