1985年の「バスケットボールにおけるホットハンド」論文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/18 00:19 UTC 版)
「ホットハンドの誤謬」の記事における「1985年の「バスケットボールにおけるホットハンド」論文」の解説
この誤謬は、エイモス・トベルスキー、トーマス・ギロビッチ(英語版)、ロバート・ヴァローネによる1985年の論文で最初に記述された。「バスケットボールにおけるホットハンド」の研究はバスケットボール選手が「ホットハンド」を持っているという理論に疑問を呈した。この論文で「ホットハンド」は、「前回のショットが成功した場合に、次にプレイヤーが成功する可能性が高いという主張」と定義されている。この研究では、回答者がランダムネスやランダムな事象を正しく理解できないことが挙げられた。基礎的な計算能力(英語版)のない人が統計情報の判断を誤ることがあるように、ホットハンドの誤謬は人々にランダムな事象に関する誤った仮定を持たせる可能性がある。著者らはコイントスに関する研究の例を出している。回答者は、少ない試行回数でさえも、表と裏の出る割合はおよそ50%ずつであると予想していた。この研究は、コイントスに対して用いられる種類の思考パターンが生み出す2つのバイアスを提案した。1つは、どちらかの出目が偏って出た場合にその逆が出る確率が高くなると信じる誤謬(これはギャンブラーの誤謬として知られている)である。もう1つは、ランダムなサンプルでは通常いずれかの結果が連続することはないという信念により、ランダム性を認めないというものである。 同論文において、第1の研究は、コーネル大学とスタンフォード大学に所属する100人のバスケットボールファンに対するアンケートにより行われた。第2の研究は、フィラデルフィア・76ersの1980-1981シーズンの選手の個々の記録を調べたものである。第3の研究では、フリースローのデータを分析し、第4の研究では制御されたショットの実験を行った。異なる研究を行った理由は、ショットの周辺の外的要因を徐々に取り除くことである。例えば、第1の研究では、相手チームの防御戦略と、シューターによるショットの種類やタイミングの選択が結果に影響する。第2と第3の研究ではショットの選択の要素を取り除き、第4の研究ではゲーム設定や注意散漫などの外的要因を取り除いた。この研究は主に、フィールドゴールとフリースローの結果が互いに独立していることを発見した。制御ショット実験に関する研究でも結果は同じであった。これらから、トベルスキーらは、「ホットハンド」の感覚は成功や失敗を予測しないと結論づけた。
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