18世紀のフランスおよびイギリスのフォリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 09:12 UTC 版)
「フォリー」の記事における「18世紀のフランスおよびイギリスのフォリー」の解説
フォリーは18世紀のイギリス式庭園(風景式庭園)やフランス式庭園(平面幾何学式庭園)の重要な要素であった。古代ローマや古代ギリシア風の神殿、ゴシック建築の修道院の廃墟、エジプト式のピラミッド、先史時代のドルメンのほか、フランスでは田舎家や水車などの田園風景を思わせるフォリーが建てられた。またクロード・ロランやユベール・ロベールなどの風景画にみられる古典主義的な廃墟を再現したフォリーも建てられた。これらのフォリーは、庭の眺望の要点となるだけでなく、古代ローマや素朴な田園生活など、失われた時代の美徳を象徴する思索的意味も持っていた。たとえば北フランスの Ermenonvill にある「哲学の神殿」と題されたフォリーは、建設中のローマ神殿を模しているが、これは知識とは決して完成しないことを示していた。一方でイギリスの Stowe にある「近代の美徳の神殿」は崩壊した状態であるが、これは近代の道徳の退廃を表していた。こうした思索や鑑賞の目的から、フォリーを置くにとどまらず、わざと隠者に模した人物を雇って庭園隠者(鑑賞隠者)として庭園内に住まわせることも行われた。 18世紀後半以後、ロマン主義やピクチャレスクの概念の勃興とともに廃墟風のフォリーが盛行した。一方で18世紀末から19世紀には、フォリーはより異国的になり、中国の仏塔や日本の橋などを模したものもあらわれる。
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