16世紀以前 - 旅行記と「列伝」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 14:44 UTC 版)
「美術史」の記事における「16世紀以前 - 旅行記と「列伝」」の解説
広い意味での美術史的記述は古代から存在していた。パウサニアスの『ギリシア案内記』のような旅行記・案内記と、大プリニウス『博物誌』に現れるような芸術家・作品についての記録がそれである。この二つの伝統は中世ヨーロッパにおいても、巡礼案内やルネサンス期以降の都市案内記、芸術家の伝記などの形を取って存続した。 しかし芸術家や作品を明確な歴史意識のもとに記述する試みが登場するのは、一般にルネサンス期、とくにヴァザーリの『芸術家列伝(画家・彫刻家・建築家列伝)』 (1550) においてとされる。この著作は「列伝」(芸術家の伝記的情報の集成)の形式を取りながら、全体を時代の流れに沿って3 部に分けて、芸術の歴史的発展をも同時に叙述している。それぞれの時代に特有の歴史的枠組みが想定されており、この点で、最初の体系的な〈美術史〉とも呼ばれる。またヴァザーリは、体系的な図像分析のための基本的技術を確立した。二十世紀の「イコノロジー」研究の要素を持っていたことも知られており、最初の美術評論家とも呼ばれる。ヴァザーリの研究手法および「列伝」の形式は、オランダのカレル・ヴァン・マンデル『画家の書』などに受け継がれた。
※この「16世紀以前 - 旅行記と「列伝」」の解説は、「美術史」の解説の一部です。
「16世紀以前 - 旅行記と「列伝」」を含む「美術史」の記事については、「美術史」の概要を参照ください。
- 16世紀以前 - 旅行記と「列伝」のページへのリンク