魚粉
魚粉(ぎょふん)とは、魚を乾燥して砕き粉状にしたものである。フィッシュミール(英語: fish meal)、魚粕(ぎょかす、うおかす、ぎょはく)[1]とも呼ばれる。主に飼料や有機肥料として使用されるが、食用として料理の際に用いることもある。
概要

日本にはチリやペルーなどから輸入され、主として養魚飼料・畜産(養鶏・養豚など)飼料として利用されており、世界全体でも畜産用が圧倒的に多くなっている。
魚を窯で煮熟したあとに圧搾機で油と水を分離し、乾燥させ粉末にする。原料の肉質によりホワイトミール(白身魚の魚粉)とブラウンミール(赤身魚の魚粉)に分けられる。タンパク質など栄養分が豊富である。魚粉製造時に水と分離して出た油を魚油という。世界漁業・養殖業白書 2014年[3]によれば、2012年の世界水産漁獲量の14%が非食用に利用され、うち75%が魚粉として加工された。
原料
原料魚としては世界的にはイワシ(アンチョビ)などが対象となることが多い。日本では、スケトウダラ、サンマ、ニシンを用いる。水産製品(かつお節、魚肉練り製品など)製造の際の副産物・加工残滓[4]も原料となる。また、売れ残り、市場に出荷できないサイズの小さいものなどを分別し製造することもある。
外来魚駆除の取り組みとして水揚げされたアメリカナマズ、ブルーギル、ブラックバス、ハクレンなどの外来魚を用い、地産地消の畜産用配合飼料として利用を行っている自治体もある[5]。しかし、配合量によっては嗜好性の低下に伴いブタなど家畜の体重増加遅が生じるとされている[6]ほか、農業用肥料への実験も行われている[7]。
用途
肥料としての歴史は古く、江戸時代の日本では干鰯や鰊粕に代表されるように、金肥(購入して使う肥料)として流通していた歴史もある。飼料用途には、畜産や養鶏飼料から始まり魚類の養殖飼料としても利用されるようになった。食用用途には、カルシウムやタンパク質を豊富に含むことが着目され、ダシをはじめとした食材としても利用されている。
牛海綿状脳症(BSE)問題がメディアを賑わして以降、家畜のタンパク質源として肉骨粉が敬遠される代わりに魚粉の需要が増加したことや[8]、原料イワシの漁獲量が減少したことの影響により、価格が高騰する傾向にある[9]。
脚注
- ^ 日本国語大辞典,日本大百科全書(ニッポニカ),栄養・生化学辞典, 精選版. “魚粕(ぎょかす)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年2月16日閲覧。
- ^ “国内統計資料|農畜産業振興機構”. 農畜産業振興機構. 2025年3月13日閲覧。
- ^ “Wayback Machine”. openknowledge.fao.org. 2025年3月13日閲覧。
- ^ “加工残滓液汁について”. 鹿児島県水産技術開発センター. 2025年3月13日閲覧。
- ^ “外来魚駆除対策事業”. 滋賀県. 2016年9月14日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “外来魚魚粉配合飼料の豚における嗜好性改善の検討”. 滋賀県畜産振興協会. 2025年3月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “漁業と農業の連携による外来魚駆除事業” (PDF). 経済産業省. 2025年3月15日閲覧。[リンク切れ]
- ^ Kiiminpo. “アユ養殖、低コスト飼料開発へ 魚粉高騰で業者負担増 - AGARA紀伊民報”. www.agara.co.jp. 2012年9月13日閲覧。
- ^ “魚粉価格の動向と養殖漁業への影響”. 農林金融2010年10月号. 農林中金総合研究所. 2025年3月15日閲覧。
関連項目
魚粕(ぎょかす)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 08:07 UTC 版)
魚粕とは、生魚(イワシやニシンなど)を水で20-30分間煮た後に油と水を圧搾機で除き、乾燥させたものである。特殊肥料に指定されている。魚粕の原料の入手経路は3つあり、①缶詰や鰹節などの食品工場から発生するカツオやマグロなどの大型魚類の解体残物、②量販店、魚屋、料理屋などで発生する魚食品の残り物、③イワシやアジ、サバなどの鮮魚である。最大の生産地はペルーとチリである。2011年現在、これらとエクアドルを加えた3か国から日本の魚粕輸入量の68%は輸入されていた。国内では、静岡県、北海道、千葉県、および鹿児島県が主な生産地である。
※この「魚粕(ぎょかす)」の解説は、「有機質肥料」の解説の一部です。
「魚粕(ぎょかす)」を含む「有機質肥料」の記事については、「有機質肥料」の概要を参照ください。
- >> 「魚粕」を含む用語の索引
- 魚粕のページへのリンク