骰子筒 - 新しい散文詩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/21 16:56 UTC 版)
「マックス・ジャコブ」の記事における「骰子筒 - 新しい散文詩」の解説
こうした精神世界の探求が、1917年発表の散文詩集『骰子筒(さいころづつ、Le Cornet à dés)』に結実する。「コルネ・ア・デ」とは、さいころを入れて振って転がすときに使う筒、すなわち、「賽筒、賽及筒、ダイスカップ」である。ミシェル・レリスは1945年刊行のガリマール版の序文で、この書名は、「限定的なモノ」に「無限の偶然、さいころ遊びを表わすアラビア語を語源とする偶然」が入っているという「示唆に富んだ曖昧さ」を表わし、また、さいころは、キュビスムの絵画にたびたび描かれると同時に、古代ローマの兵士がキリストの聖衣を手に入れるためにさいころで賭けをしたので、キリストの受難を連想させる言葉でもある」と解説している。 浅野晃は、マックス・ジャコブをアポリネールとともに「立体派(キュビスム)を代表する特異な詩人」とし、詩におけるキュビスムを「旧来の作詩法から解放された自由な韻律と、口語・俗語の使用によるイメージの絶対的自由の確立、つまり、〈新しい現実〉の発見を目標にしていた」、特に、マックス・ジャコブの詩は、「鋭い諷刺につらぬかれ、愉快な嘲笑と洒脱な洒落にみちあふれている」と評している。 1913年のバカンスは、ピカソ、ブラック、フアン・グリスとともにスペインとの国境に近いセレ(ピレネー=ゾリアンタル県)で過ごした。現在セレ近代美術館(フランス語版)となっている建物は、当時、「洗濯船」を拠点とするイタリアやスペインの画家(特にキュビスト)がもう一つの拠点とした場所であり、1916年以降は、主に「ラ・リューシュ」を拠点とするモンパルナスの前衛画家、特にソ連や中東欧での弾圧を逃れてフランスに亡命したユダヤ人画家モイズ・キスリング、シャイム・スーティン、マルク・シャガール、ピンクス・クレメーニュ(フランス語版)らが集まった。マックス・ジャコブとピカソはさらにピカソの故郷スペインのフィゲラスを訪れた。とりわけ、カタルーニャの民族舞踏サルダーナ(スペイン語版)に感動したマックス・ジャコブは、詩集『中央実験室』(1921年刊)所収の詩「サルダーナとテノーラ(スペイン語版)の栄光」をピカソに捧げている。
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