駐車場の殺害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:01 UTC 版)
カフェの銃撃の間、スタッフ数人はすでに厨房をとおって逃げることができ、外の人々に急を告げた。外には多くのバスがあり、人々が行列を作っていたが、その多くはバスあるいは建物に隠れはじめた。状況を理解しなかった人々も、あるいはどこに行くべきかわからない人々もいた。なかには、なにか歴史を再現する劇が起こっているのだと考える人々もいた。 ブライアントが50–100メートル (50–110ヤード)ヒストリックサイトの従業員アシュレー・ジョン・ローを離れた位置から狙って撃ったとき、彼は人々をカフェからインフォメーションセンターに移動させているところであった。発砲された数発の弾丸はローをそれ、近くの木々に当たった。 ブライアントはそれから、バスのほうへ移動した。運転手の1人ロイス・トンプソンはバスの乗客側を移動しているところで、背中を撃たれた。彼は地面に倒れ、どうにか這って、無事バスの下に転がり避難したが、後にいくつもの傷のために死亡した。ブリジッド・コックは人々を隠れさせるために、バスの間や突堤エリアに案内しようとしていた。ブライアントはこのバスの正面に移動し、歩いて横切り、次のバスに行った。人々はすでに、隠れ場所を求めてすばやくこのバスから後端のほうへ移動していた。ブライアントがそれをぐるりと回りこむと、人々が隠れようと這っているのが見えたため、彼らをねらって撃った。ブリジッド・コックは右腿を撃たれ、弾は大腿骨を砕いて体内に留まった。バス運転手イアン・マケルウィーは、撃たれたコックの破砕した骨の破片が当たったものの、2人とも脱出し生き延びることができた。 ブライアントはそれからすばやく別のバスの周りを通り、逃げる人々をねらって撃った。ウィニフレッド・アプリンは、別のバスのかげに隠れようとして走り、致命傷になる弾が脇腹に当たった。別の弾丸は、イボンヌ・ロックリーのほほをかすめたが、彼女はバスの1つの中に入れることができ、生き延びた。 数人がそれから駐車場から突堤のほうへ移動して去りはじめた。しかしだれかが、ブライアントがその方面へ向かっているところだ、と叫び、それで彼らはバスに引き返し、ブリジッド・コックが先ほど撃たれた所に行った。ブライアントは引き返し、タスマニア東岸に野生公園を所有していたジャネット・クインとネビル・クインの所に行った。彼らはメーソン・コーブの方向へ移動しており、バスから離脱しだしていた。ブライアントはジャネット・クインの背中を撃ち、彼女は動くことができず、ロイス・トンプソンの近くに倒れた。 人々が岸に沿って逃げようとしたとき、ブライアントは駐車場にそって進み続けた。ダグ・ハッチンソンはバスに乗り込もうとしていたとき、腕を撃たれた。彼はすばやくバスの正面に回り、それから岸にそって突堤に行き、隠れた。 ブライアントはそれから、バスをすぎたところにある自分の乗物に行き、武器をL1A1に変えた。彼は刑務所廃墟の近くにいたデニス・クロマーをねらって発砲した。後にクロマーは自身を狙って放たれた複数の弾丸が地面に命中し、砂利が彼女の正面で飛び上がったと言う。ブライアントはそれから車に乗り込み、数分間座ってから、また外に出て、バスのところに戻った。数人が駐車場の車のかげに隠れていたが、車高が低すぎたため、ブライアントには彼らが見え、車はあまり隠れ場所にならなかった。車体に隠れていた彼らが、ブライアントからは見えていると悟ったとき、彼らは茂みのなかに走った。彼は数発発砲した。少なくとも1発は誰かが隠れている樹に当たったが、結果的にだれにも当たらなかった。 ブライアントはバスに戻り、そこにジャネット・クインが先程の銃撃で負傷して横たわっていた。ブライアントは彼女の背中を撃ち、そして去った。彼女はこれら複数の負傷の結果死亡した。ブライアントはそれからバスの1台に行き、中に隠れているエルバ・ゲーラードを狙って発砲し、右腕と胸部を撃ち、彼女を殺した。隣のバスに居たゴードン・フランシスには何が起きたか見えており、バスの通路を移動してバスの扉を閉めようとした。ブライアントにはフランシスが見えており、乗っていたバスから発砲した。負傷したフランシスは4回もの大手術の後一命を取り留めた。ジャネットの夫ネビル・クインはジャネットがブライアントに撃たれて直ぐに脱出して突堤エリアに逃げていたが、妻ジャネットの事が気がかりになっていたネビルは戻る事にした。ブライアントはバスから降りて戻ってきていたネビルの居所をつきとめ、何台もバスをまわって彼を追った。ブライアントは彼を狙って少なくとも2発発砲し、ネビルはバスに走った。ブライアントはネビルの入ったバスの中に入り、ネビル・クインの顔に銃を向け「だれも俺からは逃げられない」("No one gets away from me")と言った。ネビルは、ブライアントがいまにも引き金を引こうとすると悟ったとき、頭をひっこめた。銃弾は彼の頭部をそれたが、首に当たり、一時的に彼を麻痺させた。ブライアントが去ったのち、ネビルはなんとかして妻を見つけたが、彼女はその後、彼の両腕のなかで死亡した。後にネビル・クインはヘリコプターで救出され生き延びた。ブライアントは自分を撮影していたアメリカ人のジェームズ・バラスコを狙って発砲し、近くの車に当たった。この時多くの人は駐車場に停めた車を使って隠れるかジェッティロードを走っているところであったが、ブライアントの居所はわからなかった。発砲音が大きく正確な位置を知るのが困難であったからである。この時点で、ブライアントはすでに26人を殺し、18人を負傷させていた。
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