風景描写の特色とは? わかりやすく解説

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風景描写の特色

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 08:24 UTC 版)

冬の日 (小説)」の記事における「風景描写の特色」の解説

冬の日』の作中描かれる風景は、おもに当時次郎下宿をしていた東京市麻布区飯倉片町(現・港区麻布台3丁目)の町の風景である。ここは1925年大正14年5月末から住んでいた地で、部屋からの眺め見晴らし良い場所であった。 堯の窓からは、地盤の低い家々の庭や門辺に立つてゐる木々が、一日ごと剥がれてゆく様が見えたごんごん胡麻老婆蓬髪のやうになってしまひ、美しく灼けた最後なくなり風にかさかさ身を震はすごとに隠れてゐた風景部分が現はれて来た。 — 梶井基次郎冬の日上記のように風景事物叙述する修辞は、冗漫さ避けられ俳句のように象徴的なまでに吟味されており、散文詩的、詩的な文体となっている。また、枯葉四散する描写というよりも、その向う側見ようとする主人公の心が主となっており、風景描写心理描写との境界明瞭でなく、ある意味一体化しているような表現方法となっているため、その意味でも西欧的な小説とは違って、詩に近い印象となっている。 〈風にかさかさ身を震はすごとに隠れてゐた風景部分が現はれて来た〉の一節での、多く枯葉吹き飛んでいく様が省略され、〈風景部分が現はれて来た〉に力点がおかれているような描写方法を、詩人三好達治は、「修辞素朴な上に極めて洒落つ気に富んだあたりも最も梶井式な点」だと解説している。 ちなみに三好によれば、〈冬陽は郵便受のなかへまで射しこむ。路上のどんな小さな石粒も一つ一つ影を持つてゐて、見てゐると、それがみな埃及ピラミッドのやうな巨大な悲しみを浮べてゐる〉という一節の中のピラミッド比喩は、三好の言からヒント得た入れ智恵」だという。 彼はこのやうな比興とも空想ともつかないものを極度に喜ぶたちで、うまくいひあてる、といふことに就ては日頃やや夢中になる方で、些細なことにも相好を崩さんばかりであつたことが屡々だつた。(中略拝借も辞さなかつたが、彼自身もその点では甚だ巧者でそれがいささか内心得意であつたかも知れない。 — 三好達治梶井基次郎

※この「風景描写の特色」の解説は、「冬の日 (小説)」の解説の一部です。
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