類似施設における安全対策の検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 09:14 UTC 版)
「としまえんの水上設置遊具による溺水事故」の記事における「類似施設における安全対策の検証」の解説
「ふわふわウォーターランド」にあったような水上設置遊具は、軽いため雨天時には撤去しやすい上、素材が柔らかいため、事故前の数年間で多くの海水浴場やプールに設置されていたが、地面に固定された遊具ではないため建築基準法は適用されない。このため、国土交通省などによる具体的な保安基準はなく、安全対策は事業者の裁量になっていた。そのため、消費者安全調査委員会においては、日本国内において水上設置遊具を設置している26施設に対して、事業運営、規模・製造事業者、運用状況・利用条件、危険情報・安全管理状況の4項目についてのアンケートを取った。 設立年についての調査では、2011年以前が3施設に対し、2018-2019年が10施設と多く、2020年時点での近年に増加傾向であるとされた。遊具の個数については、30個以上と回答したのが9施設と最も多かった。遊具の製造事業者については、回答のあった22施設中12施設が、販売事業者については、回答のあった25施設中19施設が、国内の事業者であると回答した。遊具が設置されている場所の水深については、プールにおいては5施設すべてが2メートル以下であった一方、海においては19施設中15施設が2メートル超であった。単独利用時の制限については、身長と年齢を制限していたのが10施設、身長のみを制限していたのが2施設、年齢のみを制限していたのが11施設、どちらも制限していなかったのが3施設で、2施設を除いてライフジャケットの着用を義務付けていた。身長制限として最も多いのは「1.1メートル以上」で10施設、年齢制限として最も多いのは「6歳以上」または「小学校1年生以上」が最も多く、合わせて9施設であった。なお、ライフジャケットの着用を求めていなかった2施設のうち1施設は、水深1メートルであり、身長1.5メートル未満の人にのみライフジャケットの着用を求めていた。また、2メートル以下の水深の場所に遊具を設置しており且つ、身長制限を設けている4施設すべてにおいて、設置場所の水深は利用できる最低の身長より深かった。さらに、10施設においては保護者1人に対する子供の人数の制限がなかった。 危険情報・安全管理状況について、飛び込みは26施設中23施設で禁止されていることが明らかになった。しかし、その22施設(未回答の1施設を除く)のうち19施設で、繁忙期には10分間当たりに水中に落下する利用者の人数が、監視員の人数より多くなっていることが明らかになった。利用者に対する安全指導の方法を複数回答で尋ねた結果においては、「注意事項の掲示」が24施設、「口頭による安全指導」が19施設、「書面に基づく安全指導及び署名」が15施設で、ライフジャケットを着用したまま誤って遊具の下に進入してしまう危険性について、8施設が想定していないと回答した。8施設は外部に監視を委託しており、1人の監視員が監視する人数は2人から33人と差が大きかった。整備しているマニュアルについては、監視方法についてが約88パーセント、事故対応についてが約85パーセント、運用従事者への教育・訓練についてが約50パーセントで、ライフジャケットに「桜マーク」「CSマーク」「RAC川育ライフジャケット認定マーク」のいずれかがあるものを貸し出していたのは10施設、そうでないものを貸し出していたのが15施設であった。さらに、水中に落下した利用者が遊具の下に進入しそうになる事案が1件、同じく水中に落下した利用者が遊具を固定する縄に絡まりかけた事案が1件それぞれあったという。
※この「類似施設における安全対策の検証」の解説は、「としまえんの水上設置遊具による溺水事故」の解説の一部です。
「類似施設における安全対策の検証」を含む「としまえんの水上設置遊具による溺水事故」の記事については、「としまえんの水上設置遊具による溺水事故」の概要を参照ください。
- 類似施設における安全対策の検証のページへのリンク