頭蓋後方要素とさらなる発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 02:24 UTC 版)
「イリタトル」の記事における「頭蓋後方要素とさらなる発見」の解説
頭骨要素と孤立した歯の他に、ロムアルド累層には頭骨よりも後方のスピノサウルス科に由来する骨格が産出している。多くは未記載であり、さらに全てがスピノサウルス亜科(英語版)に関連する。2004年に脊柱の一部 MN 4743-V が累層で発掘され、ブラジルの古生物学者ジョナサン・ビッテンコートとケルナーが構造に基づいてスピノサウルス科と想定した。この標本がイリタトルとアンガトラマのいずれに分類されるかは、両属が頭骨のみに基づいているため不確定である。2007年にマカドとケルナーは暫定的に肋骨断片 MN 7021-V をスピノサウルス科に割り当てたが、ロムアルド累層から得られた最も完全なスピノサウルス標本は頭骨を失った骨格断片 MN 4819-V である。1991年に初めて報告されたこの標本はケルナーにより2001年にスピノサウルス科に割り当てられた。その根拠は仙椎の神経棘、肥大した前肢の鉤爪であった。骨格は2010年にマカドによる未発表の修士論文で完全に記載された。2013年に言及された不完全な後肢 MPSC R-2089 もスピノサウルス科に関係する可能性がある。2018年、ティト・オーレリアノと彼のチームが特大個体の左腸骨の一部 LPP-PV-0042 を記載した。アラリペ盆地(英語版)産の化石にはよくあることだが、ロムアルド累層から産出したスピノサウルス科の骨要素の大多数は、化石の違法取引のため管理されていない状況下で収集されたものである。そのため、部分的に損傷し、地理学的フィールドデータの揃っていない標本も多い。 頭骨よりも後方のロムアルド累層の骨格にはアンガトラマのレプリカ骨格の製作の基盤に用いられたものもあり、レプリカは後にリオデジャネイロ大学の所有するブラジル国立博物館で組み立てられた。骨格は顎でアンハングエラ科(英語版)の翼竜を運ぶ様子を示した。同標本は2009年3月に開催された Dinossauros no Sertão(セルトンの恐竜)展の目玉展示となり、展示された初めてのブラジル産大型肉食恐竜となった。骨盤や仙椎の化石を含むオリジナルの頭より後方の要素には、組み立てられた骨格マウントともに展示されたものもあった。特別展開幕のプレスリリースで、ケルナーは MN 4819-V がアンガトラマに属すと非公式に暗示した。また、これは標本が骨格マウントに含まれることにも反映されている。2011年には、ブラジル産の3番目のスピノサウルス科 Oxalaia quilombensi がサオ・ルイス盆地イタペクル層群アルカンターラ累層(英語版)から記載・命名された。この大型種は孤立した吻部先端と上顎断片のみから知られ、イリタトルやアンガトラマから約6000万年から9000万年後のセノマニアン期に生息した。Oxalaia quilombensis は広く丸みを帯びた吻部と前上顎歯に鋸歯状構造がない点で Angaturama limai と異なる。2018年9月、ブラジル国立博物館で火災が発生し、化石コレクションも大規模な破壊を受け、おそらく展示されていたアンガトラマの骨格と化石も失われた。Oxalaia quilombensis のホロタイプ標本は同じ建物に保管されていたため、これも火災で破壊された可能性がある。
※この「頭蓋後方要素とさらなる発見」の解説は、「イリタトル」の解説の一部です。
「頭蓋後方要素とさらなる発見」を含む「イリタトル」の記事については、「イリタトル」の概要を参照ください。
- 頭蓋後方要素とさらなる発見のページへのリンク