領域理論の意図と直観的意味とは? わかりやすく解説

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領域理論の意図と直観的意味

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 07:55 UTC 版)

領域理論」の記事における「領域理論の意図と直観的意味」の解説

1960年代末にデイナ・スコット領域についての研究開始したそもそもの動機は、ラムダ計算表示的意味論について研究するためであったラムダ計算においては、この言語定めている記法で記される関数」について考察する。 このラムダ計算では純粋に文法的に単なる関数から入力引数として別の関数をとるような関数作ることが可能である。 このラムダ計算には、不動点コンビネータ(英: fixed point combinator、Y コンビネータとも)Y といわれるものが存在することが知られている。 これは定義により、ラムダ計算定められ文法的な変換を施すことで、任意の関数 f に対して f(Y(f)) = Y(f) となる性質をもつものであるはじめに、このラムダ計算表示的意味論作り上げるために、各ラムダ式通常の(全)関数を表すものとして、両者対応づけるようなラムダ計算対する「モデル」を作ることができたのだとしようこのようなモデル純粋に文法的なシステムとしてのラムダ計算と、具体的な数学的関数を扱うための表記上のシステムとしてのラムダ計算との間を結びつけてくれるだろう。 しかし、こうしたモデル存在しない。 もし存在したとするなら、コンビネータ Y に対応する真の関数、すなわち任意の入力関数 f の不動点計算するような関数を含まなければならなくなるからである。 いくつかの関数例えば「次者関数」)にはこのような不動点存在しないので、Y に対応するような関数存在しえない。 よってよくても、Y に対応する通常の関数は、いくつかの入力に対して必ずしも値が定義されていないような部分関数なければならないスコットは、この困難を回避するため、結果返さない計算表現するための「部分もしくは「不完全」な情報という概念形式化した。 これは、計算の各領域例え自然数に対して未定義」出力、つまり決し終わらない計算の「結果」を表す新し要素付け加えることによりモデル化される。 さらに、この計算領域には「未定義の結果」が最小元となるような「順序関係」が与えられている。 ラムダ計算モデルを見つける上で大切なことは、(半順序集合上で)これらの関数のみを考慮することである。 こうした関数は、最小不動点をもつことが知られている。 これらの関数集合適切な順序与えられたものもこの理論の意味で「領域」ではあるが、あらゆる可能な関数ではなく、その部分集合制限することにも別の大きな利点がある。 そうした場合、それ自体関数空間を含むような領域、すなわち関数自身適用することのできる関数得られるこうした望ましい特性加えて領域理論直観的な解釈訴えることも可能にしている。 上述のように、計算領域は常に半順序与えられている。 この順序情報あるいは知識階層表現している。 この順序でより大きな要素は、より詳しく定められており、より多い情報含んでいる。 より小さな要素は、不完全な知識、あるいは途中結果表現している。 このとき計算は、結果改善するために領域要素繰り返し単調関数適用することとしモデル化される。 不動点達することとは計算完了することである。 領域が、こうした概念対す優れた枠組み与えているのは、それに単調関数不動点存在することが保証されており、制限追加すれば下側から近似できるからである。

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