音高と音域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:35 UTC 版)
変ロ(B♭)長調の音階を演奏した時のソプラノ、アルト、テナー、バリトンの伝統的なキイ音域(記譜はin C)。 様々なサクソフォーンの「キイ音域」(上音を出すアルティッシモ(英語版)音域よりも下)では、音高は浅い「皿」が付いた「キイ」(鍵)によって制御される。皿の内側は「音孔」を塞ぐ革製「タンポ」が固定されている。音孔を塞ぐことによって、「ボア」内の気柱の共鳴長(したがって周波数)が制御される。音孔とマウスピースの間に位置する「ベントホール」と呼ばれる小さな孔は、「オクターブキー」によって開放される。ベントホールが開放されると、音高を決定する周波数として第1倍音を残したまま、基本周波数を消去することによって音高が1オクターブ上がる。ほとんどの現代サクソフォーンは低い(楽器の調の、すなわち記音の)B♭を出すためのキイを持つ。現代バリトンサクソフォーンは一般に低いAまで演奏可能である。また、低いAまで演奏可能なアルトサクソフォーンが生産されたこともあった。キイ操作で出すことができる最高音は伝統的に低いB♭の2オクターブ半上のFであるが、最近のほとんどの演奏会用楽器のキイ音域はF♯まで拡張されている。現代ソプラノサクソフォーンではハイGキイを持つものもごく一般的である。Fより上の音はアルティッシモ音域の一部であると考えられ、高度なアンブシュア技術と運指の組み合わせを使って出すことができる。現代サクソフォーンはアルティッシモの演奏を手助けするキイ機構を備えている。現代のサクソフォーン奏者はテナーとアルトにおいて音域を4オクターブ以上にまで拡張してきた。ほとんどのサクソフォーンのための音楽は大抵高音部記号(ト音記号)を使って表記される。 すべてのサクソフォーンが譜面上の音高を出すために同じキイ配置および運指を使用するため、音楽が適切に移調されている時に、能力のある奏者が様々なサイズを持ち替えることは難しくはなく、多くの奏者が行っている。バリトンとアルトはE♭管であるため、奏者は低音部記号(ヘ音記号)で表記されたコンサートピッチの音楽を、調号に3つのシャープを加えることによってあたかも高音部記号であるかのように読むことができる。この過程は「音部置換」と呼ばれ、バリトンホルン(英語版)、ファゴット、ユーフォニアム、コントラバス、トロンボーン、チューバのために書かれたパートをE♭管の楽器で演奏することが可能になる。これは、バンドあるいはオーケストラでこれらの楽器が不足している場合に有用かもしれない。
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