音韻の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 01:58 UTC 版)
標準語教育の普及、マスメディアの影響などのさまざまな要因により、若年層においては方言的な諸特徴が失われつつあり、とりわけ都市部においてはその傾向が著しい。以下は伝統的な越後方言における主な音韻的特徴である。 北越方言・中越方言では /イ/ と /エ/ の区別がなく、ともに同じ音([e̝] のような「イ」と「エ」の中間音)で発音される。[e̝tɕe̝ɡo](苺、越後)、[ae̝](アエ、愛・彩・綾)、[hae̝](ハエ、はい・灰・蠅)またこれにより、「向かい」と「迎え」、「米原」と「前原」が区別出来ず、文脈で判断するしかなくなる。 阿賀野川以北及び東蒲原郡の北越方言では、/イ/ が中舌母音 [ɨ](「イ」と「ウ」の中間音)で発音される。[sɯ̈sɨ](寿司) 中越方言では、連母音「アウ」に由来する開音/オァー/ [ɔː] と、連母音「オウ」に由来する合音/オー/ [oː] の区別がある。[tɔːdʑi](湯治)― [toːdʑi](冬至) 北越方言・中越方言では連母音「アイ」が融合して/エァー/([ɛː]または[æː])となり、/エー/とは区別される。そのため、長岡市などでは/i/・/e/・/ɛ/・/a/・/ɔ/・/o/・/u/の7母音体系を持つ。 北越方言(阿賀野川以北及び東蒲原郡の方言)、西端越方言(糸魚川市の方言)を除き、鼻濁音の発音は行われない。[aɡo](あご) 合拗音 /kwa/,/gwa/ を持つ。[kwadʑi](火事) ― [kadʑi](家事) アクセントは東京式アクセントである(ただし、個々の単語のアクセントは東京方言と必ずしも一致しない。また地域によって異なる)。下越地方(阿賀野川以南地域)、中越地方全域、糸魚川市を除く上越地方は、大分市や豊橋市のような外輪東京式アクセントであり、糸魚川市中東部は東京と同じく中輪東京式アクセントに分類される。また、糸魚川市西部は垂井式アクセントである。また、阿賀野川以北および東蒲原郡は、外輪東京式がさらに変化した、北奥羽方言と同種のアクセントで、特徴は、二拍名詞4・5類のうち二拍目が広母音(a、e、o)をもつものが尾高型(二拍目が高い)になっているなど、母音の広狭によって変化したアクセントである。
※この「音韻の特徴」の解説は、「越後方言」の解説の一部です。
「音韻の特徴」を含む「越後方言」の記事については、「越後方言」の概要を参照ください。
- 音韻の特徴のページへのリンク