非状態論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 09:53 UTC 版)
非状態論に分類される理論として、社会認知理論がある。ただし、社会認知理論は単一の理論ではない。複数の認知心理学、社会心理学の理論から構成されるものである。 社会認知理論には、役割取得、課題動機付け、目的志向空想、反応期待といった説が含まれる。このうち課題動機付け説を提唱したのはバーバー(Barber)であり、状態論に真っ向から反論した人物として知られる。 課題動機付け説とは、催眠反応が被験者の動機付けによって起こるとする説である。バーバーは課題動機付け説を証明するため、被験者に対し催眠反応が想像によって起こることを強調した上で、誘導者の言葉に集中させる実験を行った。実験の結果、通常の覚醒状態でも催眠特有の反応(腕挙上、のどの渇き、健忘など)が催眠誘導無しに生ずることが証明された。ハーバーはこれを踏まえ「変性意識という概念は催眠反応を説明する上で不要である」と主張した。課題動機付け説で催眠現象を十分に説明できるとしたのである。 しかし本説に対し、状態論派から「これでは被験者が催眠にかかった振りをしていても催眠とみなすことになってしまう」という批判が起こった。これに対しスパノスは、被験者は催眠下にあるという役割に集中しており、その上で与えられた課題をこなしているのだと反論した。 また、スパノスはヒルガードが提唱した「隠れた観察者」も外部からの指示によって生じていると反論した。スパノスは自論を証明するため、高催眠感受性の被験者を二つのグループに分けて催眠の鎮痛に関する実験を行った。一方のグループにはヒルガードの報告通りの情報を与え、もう一方のグループには先ほどのグループとは逆の情報を与えた。実験の結果、二つのグループには逆の結果が現れた。
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