状態論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 09:53 UTC 版)
状態論の一つとして、ヒルガードが提唱した新解離理論が挙げられる。 新解離理論(the neodissociation theory)とは、催眠によって生ずる意図しない行動(例:腕が勝手に揚がる)を心的解離によるものだと主張した理論である。この理論の名称は、ジャネが提唱した解離説から来ているが、ヒルガードはジャネとは異なり解離を正常な反応と考えていた。ここから分かるようにヒルガードの新解離理論とジャネの解離説は全くの別物である。 本理論は、人間の認知システムを複数の認知制御構造と、それらを統括する統括自我に分けて捉えている。催眠によって統括自我に何らかの異常が発生すると、ある特定の認知制御構造は統括自我の管理から外れる(解離)してしまう。これによって意図しない行動が生ずるというのが、新解離理論の要点である。 ヒルガードは催眠の鎮痛効果を新解離理論で次のように説明した。 催眠暗示によって認知制御構造が統括自我から分離される。 すると痛みは「意識される痛み(顕在痛)」と「意識されない痛み(潜在痛)」に分離される。潜在痛を認知するには、意識の分割によって起こる「隠れた観察者」という存在が必要である。 被験者は顕在痛の部分しか意識的に痛みを感じることは無いため、鎮痛効果が生じる。
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