階級イデオロギーとは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/19 17:17 UTC 版)
これに対して階級イデオロギー(狭義の階級意識)は客観的な階級状況や階級利害に合理的に適合した意識として、理性的認識と目的意識性によって特徴づけられている。従って、それは一貫性と体系性をもった認識と判断の準拠枠であり、階級社会のメカニズムとその結果に対する知的解明・矛盾克服への展望を提供しながら、実践の指針または活動の規定根拠として階級闘争における有力な思想的武器として働く。そこには、同じ階級の内部における利害共同意識と他の階級に対する利害対立意識、それに伴う先鋭な連帯意識と自己の所属する階級の歴史的・社会的な位置および使命に対する認識、現状からの解放を求める志向と将来の目標に対する自覚と展望、この目標を達成するための手段と方法の認識などが含まれる。 ルカーチによると、このような階級意識は、生産過程における一定の典型的状態に向けられた合理的に適合した反応であり、階級の歴史的状態の意識的となった意味であって、事実的、心理学的な意識状態とは独立した、つまり人間の心理に媒介されない階級的存在に対応するものだと論理的に思考された意識ないしはイデオロギーに他ならないという。階級意識の高揚は人々の階級的に規定された生活の中から生じた日常的な要求をエネルギー源とし、その要求獲得のための集合行動を通じて初めて可能なのである。
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