除斥期間について問題となる条文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 17:26 UTC 版)
「除斥期間」の記事における「除斥期間について問題となる条文」の解説
除斥期間について定めたものではないかとみられる民法上の主な条文には以下に掲げるようなものがある。なお、学説は一様ではなく条文ごとに除斥期間ではなく消滅時効を定めた規定であるとする学説が存在している条文もあるので注意を要する。 取消権の行使取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する(126条前段)。「時効によって」という文言から時効期間を定めたものとする学説と形成権には除斥期間のみが認められるとする学説があり解釈が分かれる。 取消権は、法律行為の時から20年を経過したときは、消滅する(126条後段)。 即時取得の盗品又は遺失物の回復(193条)盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。 動物の飼主の回復請求(195条)その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に請求しなければならない。 占有の訴えの提起期間(201条)1年以内に提起しなければならない。 不適齢者の婚姻の取消し(745条)適齢者は、適齢に達した後、なお3箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。 再婚禁止期間内にした婚姻の取消し(746条)前婚の解消若しくは取消しの日から6箇月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消しを請求することができない。 詐欺又は強迫による婚姻の取消し(747条2項)取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。 詐欺又は強迫による縁組の取消し(808条1項・747条2項)取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。 協議上の離縁(812条・747条2項)取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。 被後見人の財産等の譲受けの取消し(866条2項・126条後段)取消権は、法律行為の時から20年を経過したときは、消滅する。 未成年被後見人の財産等の譲受けの取消し(867条・866条2項・126条後段) 未成年被後見人と未成年後見人等との間の契約等の取消し(872条2項・126条後段) 相続回復請求権(884条後段)相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しない場合または相続開始の時から20年を経過したとき消滅する。 遺留分侵害額請求権の期間の制限(1048条) なお、除斥期間と解釈されてきたものの中には民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)によって性質が変更されたものがある(詐害行為取消権の期間の制限や不法行為による損害賠償請求権の期間の制限など)。
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