開発と規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 22:06 UTC 版)
2008年に発生した金融危機をうけて基準価額が下がったものの、分配金の額を保ち続けていた海外リートファンドなどは分配利回りが数十%まで一時高まった。これを見た投資家の資金が流入し、高分配型のリートファンドなどが人気化した。金融危機による販売不振におちいっていた金融機関・運用会社はさらに高い分配金を提供することができる商品として、通貨選択型投資信託を次々に開発した。日本で最初に設定された通貨選択型投資信託は、2008年に設定された「欧州ハイ・イールドボンドファンド(円コース、欧州通貨コース、豪ドルコース)、野村アセットマネジメント」である。その後2016年末時点までに約900本の通貨選択型投資信託が設定された。 2012年、金融庁は通貨選択型投資信託の複雑さやリスクを理解しないまま顧客が購入しないように販売規制を強化した。これにより、販売前に顧客とチェック書面を交わすようになった。しかしその後も通貨選択型投資信託の人気は継続し、2013年には通貨選択型の純資産総額は12兆円に迫り、その半分を占めていたのがブラジルレアル・コースであった。 2013年に金融庁は投資信託の回転売買について規制を強化した。これは金融機関が投資信託を販売した際の手数料収益を目的として短期間で投資信託を売買させるもので、新しい監督指針には、「監督指針で、手数料を稼ぐために別の投信への乗り換えを勧める回転売買や過剰な分配金を出す商品は「(市場発展には)なじまない」と明記」された。また2015年には米国の利上げ懸念や新興国の通貨安などが重なり、通貨選択型投資信託の高い分配金の維持が難しくなったことも追い打ちとなり、投資家が資金を解約。2015年10月時点の純資産総額は8兆円となり、2014年末対比で3割減少することとなった。2017年1月末時点の通貨選択型投資信託の純資産総額は7兆円を下回っている。
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