鉱床の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 02:09 UTC 版)
伊豆珪石鉱山は、静岡県西伊豆町宇久須と伊豆市土肥との境界付近の東西約4キロメートル、南北約2キロメートルの範囲に広がる珪石と明礬石を主に産する鉱山である。鉱床は標高約400メートルから600メートルの西伊豆町と伊豆市との境界である尾根筋を中心に広がっており、おおむね鉱床中心部に珪石鉱床があって、珪石鉱床と隣り合うように明礬石鉱床が広がり、更に鉱床の外縁を粘土化帯が囲むように形成され、鉱床の断面は漏斗状になっている。 鉱床の最西部には明礬石鉱床である深田鉱床がある。深田鉱床は戦前期に露天掘りによる本格的採掘が計画された鉱床であったが、終戦により本格稼働に至らなかった。深田鉱床の東北東約1.5キロメートル付近から、珪石鉱体である西豆第1、西豆第2、芝山第1、芝山第2、八向鉱体が東西方向に連なっている。戦後まもなくは芝山第1鉱体で珪石の採掘が行われたが、鉱体の規模は東端の八向鉱体が最も大きく、後に伊豆珪石鉱山の主力鉱体となった。芝山第1、芝山第2、八向鉱体と隣り合うように明礬石鉱床の芝山鉱床、八向鉱床があり、少し離れた場所にやはり明礬石鉱床である八木沢鉱床、佛石鉱床、妙見鉱床がある。 板ガラスの原料として産出された珪石は、二酸化ケイ素の含有量が97パーセントを超え、酸化鉄の含有量が0.1パーセント以下、酸化アルミニウムは1パーセント以下と、板ガラス原料にふさわしい純度が高いものであったが、微粉が多いことが欠点とされた。また伊豆珪石鉱山の珪石鉱床は規模が大きくかつ鉱床の均質性が高く、珪石には夾雑物がほとんど見られず、ほぼ多孔質の微粒石英からのみで形成されているという特徴があり、これらの特徴は日本の他の珪石鉱床では見られないものである。 明礬石鉱床は日本国内で最も規模が大きい鉱床である。戦前から戦時中にかけてアルミニウム原料として注目され、第二次世界大戦末期には国家管理のもとで大規模な開発が進められた。アルミニウム原料としてみた場合、伊豆珪石鉱山の明礬石はアルミナの含有量は少ないが、鉱石中の夾雑物はほぼ石英のみで浮遊選鉱が容易であり、しかも埋蔵量も豊富であるためアルミニウム資源として有望視された。また明礬石はカリウムの原料としても利用されるが、伊豆珪石鉱山の明礬石はカリウムの含有量が低く、資源としての利用価値は低かった。
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