鉄道変電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 17:43 UTC 版)
電気鉄道に電力を供給する鉄道変電所には、通常の変電所とは異なる特殊な点がある。 直流電化区間では、電力会社から供給される三相交流を直流に変換して供給している。三相交流をまず変圧器で所要の電圧に降圧し、ブリッジ回路などで整流器につないで所定の直流電圧を得ている。かつては回転変流機や水銀整流器を用いて直流へ変換していたが、サイリスタや近年ではPWM整流器などが用いられるようになっており、こうした点では交直変換所と同じである。ただし、交流から直流へ変換するのみで、逆に直流から交流への逆変換機能は無いのが普通である。 しかし、回生ブレーキが用いられるようになると、制動時に電車の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されるが、この回生電力を他の車両で消費しきれない場合は変電所に送り返されてくるので、これを電力網に回生できるように変電所に逆変換装置を設置する必要が生じた。このための設備は回生インバータと称されている。また電力網に回生電力を返還する機能が無く、変電所に設置した抵抗器で熱に変えて捨てるだけのものもある。 電力会社の送電線から遠く離れた地点で変電所を増設できずに電圧降下が問題になったり、回生電力を吸収しなければならなかったりする場合には、架線と接続した蓄電装置が設置されることがある。これはフライホイール・バッテリーを使ったりその他の蓄電池を用いたりすることがある。回生電力や、電車が走行していない時間帯の電力を蓄電池に蓄積して、負荷が高い時間帯に放出することで、回生時の電圧上昇を抑制し力行時の電圧降下を補償する仕組みとなっている。 交流電化区間では、単に変圧器で電圧を変換するだけで架線へ電力を供給している。ただし、交流電化の鉄道では一部を除き単相負荷であるため、スコット結線変圧器やウッドブリッジ結線変圧器などの三相二相変換変圧器を用いて二相に変換した上で、複線の上下線にそれぞれを供給するか、あるいは変電所の前を中心に両側に供給している。上下線に別の位相を供給する方式を上下線別異相饋電方式、両方向へ供給する方式を方面別異相饋電方式と呼んでいる。 その他の遮断器や断路器などの設置に関しては通常の変電所と同様である。 「鉄道の電化」、「直流電化」、および「交流電化」も参照
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