鉄触媒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 13:58 UTC 版)
「ハーバー・ボッシュ法」の記事における「鉄触媒」の解説
ハーバー法を成功させた鍵の1つは、化学平衡を有利にし、かつ高い反応速度を得るために必要な高温高圧反応装置を開発できたことであり、もう1つは反応を促進する触媒を開発できたことである。窒素分子は非常に強い窒素原子間結合を有しており、その解離には大きな活性化エネルギーが必要となるため、極めて反応性に乏しい。実際、多くの場合、不活性ガスとして取り扱われる。従って、窒素解離の活性化エネルギーを低減できる触媒の開発が極めて重要であった。 二重促進鉄触媒 ハーバーらは鉄鉱石(酸化鉄を主体とし、酸化アルミニウム、酸化カリウムを含む)を触媒に用いた。このとき注意すべきことは、酸化鉄を触媒として装填するが、実際に反応しているのは水素によって還元されて生じた単体の金属鉄であることである。酸化アルミニウムは還元されず単体として鉄の単体がシンタリングするのを防ぎ、酸化カリウムは塩基として鉄に電子を供与して触媒能力を高めている。これらの作用から二重促進鉄触媒と呼ばれる。これらの機構は後にゲルハルト・エルトルにより解明された。 Fe 3 O 4 − Al 2 O 3 − K 2 O {\displaystyle {\ce {Fe3O4-Al2O3-K2O}}} 触媒開発を担当したアルヴィン・ミタッシュ(ドイツ語版)により見出された。ミタッシュは、様々な鉄鉱石を触媒として用いたところ、スウェーデン産の磁鉄鉱が非常に高い活性を示すことを発見した。そしてさらに検討を重ね、微量のアルミナとカリウムが必要であると結論付けた。この結論に至るまで、ミタッシュは約2万種類の触媒を試したと言われている。 三重促進鉄触媒 より高効率で生成可能な触媒として CaO を付加した三重促進鉄触媒が開発された。 Fe 3 O 4 − Al 2 O 3 − CaO − K 2 O {\displaystyle {\ce {Fe3O4-Al2O3-CaO-K2O}}}
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