過剰収容問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 15:35 UTC 版)
少なくとも2017年8月以降は、過剰収容問題は解消されている。 収容率は、1967年に未決と合わせた値であるが100%を切って以降、長らく100%以下で推移していたが、1993年(収容率:約77.2%)から収容率が増加し始めた。そして1999年(収容率:約94.5%)を境に増加スピードがより速くなり、2000年には収容率が約103.6%となり、刑務所(本所に限る。)の約3割が定員を超えた。翌年の2001年には、収容率が109.7%となり、刑務所(本所に限る。)の8割強が定員を超える収容となった。更に2003年は、収容率が約116.6%で、ほぼすべての施設(72施設中64施設)が100%を超える過剰収容となっており、その中でも、収容率が120%を超えるものが29施設あった。なお、収容率が100%に満たない施設の半数余りは医療刑務所であり、医療刑務所を除いた各刑務所では過剰収容が問題となった。統計では犯罪発生数に目立った増加がないのに受刑者数が激増した理由として、オウム真理教事件や、犯罪報道の増加による国民の体感治安の悪化で厳罰化が進んだこと、景気の悪化により就労先が見つからない者や、高齢者などが出所後すぐに生活に困った結果、衣食住が保障される刑務所に戻ろうと窃盗や詐欺(特に万引きや食い逃げ)、暴行・傷害事件等の犯罪を再び犯すという、いわば刑務所が福祉施設代わりになっていることが挙げられる。 過剰収容対策として、既存施設の大幅な増改築や、PFI施設4庁の新設により、収容定員を大幅に増やしたのだが、受刑者総数が減った事もあり、2004年(収容率:約117.6%)をピークに減少し、2008年には、全体の収容率が100%を下回り、その年以降から現在まで収容率が100%未満である。また、2008年時点で、刑務所(本所に限る。)は、全76施設中28施設(36.8%)であった。 しかしながら、これまでの過剰収容対策は、PFI施設を中心とするA級受刑者に対する対策が中心のものであり、100%を下回った後も、LA級施設、B級施設、女子施設については、過剰収容状態が続いていた。但し、前述にある受刑者総数の減少がその後も続いたことにより、2015年末では、女子施設を除いて、定員を下回る収容人員となった。また、女子施設については、2011年以降、収容施設の増設により、女子施設全体の収容率は2013年末で100%を下回った。更に男性用刑務支所を女性用に転用した結果、2017年8月に全ての女子施設が、収容定員より下回った。 2020年末時点の収容率(労役場留置者及び被監置者を含む。)は、約57.7%(収容定員:69,928人、収容人員:40,355人)であった。 また、現在は過剰収容が解消されたものの、高齢受刑者の増加に対する対策並びに出所後の再犯防止のための就労支援や、保護観察、福祉制度による支援の充実が必要であると言われる。
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