運行機材の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:34 UTC 版)
また朝の通勤時間帯に通勤電車として、乗降に時間のかかる急行列車用車両が使用されていた背景もある。 国鉄は慢性的に赤字であったことから、この事件の前後より各線区に対する車両の投入両数(購入・維持予算増)、及び列車増発数(人件費増)を最低限に抑えざるをえなかった。そのため少しでも輸送力を確保するため近郊形電車を最混雑時間帯に集中的に走らせ、その前後の時間帯に2ドア・デッキ付の急行列車用車両(165系電車もしくは碓氷峠用の169系電車)を投入するなどの一時的な対策を採らざるを得なかったことも背景にある。 この事件の原因のひとつであった当該列車は2本とも急行形電車の運用であり、つり革のない急行電車に乗客が「すし詰め」になったことがさらに状況を悪くしたといえる(なお、本来の近郊型である115系電車であれば最大15両編成で定員1804人であり、上尾駅で事件で巻き込まれた列車の2倍の定員であった)。そのため仮に順法闘争がなくても利用者の怒りが爆発していた可能性があったとの指摘もある。ただし、梅原は2009年(平成21年)に出版した著書で本事件を取り上げた際、車両の問題を「一要因」としており、連日の順法闘争により車両運用が狂ったことや、時刻通りなら来るはずの列車が来なかった点に重きを置き、翌月の首都圏国電暴動と合わせて、順法闘争を「愚かな行い」として批判している。 この事件の余波で、国鉄分割民営化後の東日本旅客鉄道(JR東日本)が社の方針で転換クロスシート車の導入を一切行っていないとされている。ちなみに、JR東日本以外のJR各社は転換クロスシート車の導入を行った実績がある。
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