運用と諸問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 09:29 UTC 版)
「Network Time Protocol」の記事における「運用と諸問題」の解説
「en:NTP server misuse and abuse」も参照 前述の通りNTPは階層構造を採用しているため、負荷分散が行えるように工夫されている。しかし、NTPと同じく階層構造を採用するDNSではDHCPやPPPによるDNSサーバアドレス配信の仕組みが普及しているのに対し、NTPではNTPサーバアドレス配信の仕組みが存在しない。よって、エンドユーザーは自ネットワーク内のNTPサーバの存在を知ることができず、エンドユーザーが stratum 1 の公開 NTP サーバを使用する傾向がある。結果的に、一つのNTPサーバにアクセスが集中するためサーバの応答性を下げ、配信される時刻の正確性が失われる。 この問題に対する国際的なプロジェクトとして、NTP pool project が存在する。これは、世界全体、あるいは国単位でまとめられたNTPサーバーのリストを用意し、DNSラウンドロビンによってNTPクライアントからのアクセスを振り分けるようにする公開DNSサーバーであり、サーバー名として 0.pool.ntp.org, 1.pool.ntp.org などのように指定すると全世界にあるNTPサーバーからランダムに選ばれたどれかのIPアドレスが返される。大陸別、あるいは国別の地域割りもなされており、たとえば 0.jp.pool.ntp.org や 1.jp.pool.ntp.org を指定すれば、日本国内にあるNTPサーバーのIPアドレスがランダムに返される。0.asia.pool.ntp.org ならアジア地区のNTPサーバーのどれかがランダムに選ばれる。プールされているサーバーのアドレスは、2017年12月現在、全世界で4146、日本国内については50である。なお、このプロジェクトはエンドユーザーからのアクセスを分散することを主目的としているため、プールされているNTPサーバーには、stratum 3や4も含まれている。 Windows XPやMac OSの初期設定サーバは混雑しているため、ISP提供のサーバや、上記のNTPプール、あるいは後述の公開NTPサーバ等に変更すると、より正確な時刻取得が可能になる。 日本では情報通信研究機構 (NICT) が世界最高性能のNTPサーバ (ntp.nict.jp) を2006年6月より一般公開したので、負荷に起因する問題は解決の方向へ向かうと思われる。NICTによれば、世界中のNTPリクエストを合計しても数万リクエスト/秒程度なので、100万リクエスト/秒を扱える新しいシステムでは負荷の問題ではなく知名度の低さが問題としている。
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