転貸借
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:46 UTC 版)
賃借人が借地・借家の目的物を第三者に貸す(転貸)する場合、賃貸人の承諾が必要である。また、借地権・借家権自体を第三者に譲渡する場合も、賃貸人の承諾が必要である(民法第612条1項)。 転貸がなされると、賃貸人は、賃借人に対して請求することができる範囲内で、転借人に対して転借料を直接に賃貸人に支払うよう請求できる。転借人は、転借料を賃借人にすでに支払っていることを主張して賃貸人からの請求を拒むことはできない(民法第613条)。 転貸がされている場合において、建物の賃貸借契約が 期間満了または解約申入れによって終了するときは、賃貸人は転借人に対しそのことを通知しないと契約の終了を転借人に対抗できない。賃貸人が終了の通知をしたときは、転貸借はその通知後6か月を経過すると終了する(34条)。 合意解除によって終了したときは、特段の事情がない限り賃貸人は転借人に対してこの合意解除の効果を対抗できない(大判昭9.3.7)。 賃借人の債務不履行が理由で解除されたときは、転貸借も同時に終了する。転借人への催告は不要である(最判昭37.3.29)。 賃借人が賃貸人に無断で転貸借・借地権借家権の譲渡をして第三者が使用・収益をしたときは、賃貸人は契約を解除することができる(民法第612条2項)。その際、催告や正当事由は不要である。ただし、その使用収益させる行為が賃貸人に対する背信的行為と認められないときは、契約の解除はできない(最判昭28.9.25)。 土地の賃借人が借地上の自己所有建物を譲渡する場合も、土地の賃貸人の承諾が必要である。建物は土地に付着しているものなので、借地上の建物を譲渡する以上、借地権も譲渡しなければならなくなるからである。承諾がなされないときや承諾を得ないまま譲渡された場合、建物の譲受人は賃貸人に対して建物を時価で買い取るよう請求することができる(14条)。また、借地権者が代わることで特に借地権設定者に不利になるおそれがないにもかかわらず承諾しないときは、借地権者は承諾に代わる裁判所の許可を申立てることができる(19条)。この場合は承諾を得ないで譲渡された場合は申立てできないが、競売で取得した場合には競落者による申立てが認められる(20条)。なお、申立てを受けた裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。 いっぽう、借地上の建物を賃貸する場合は土地の賃貸人の承諾は不要である。
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