起こる間隔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:21 UTC 版)
金星の太陽面通過は非常に稀な現象である。近年では、8年、105.5年、8年、121.5年の間隔で発生する。 ある時点に太陽面通過が起きたとする。地球の1恒星年は365.256日で、金星の1恒星年は224.701日なので、金星の方が太陽の周りを早く回る。太陽面通過から過ぎ去った金星が再び地球と太陽の間に達して次の内合が起こるには、前回の内合から583.924日が必要となる。この583.924日という期間を会合周期と呼び、583.924日おきに内合が発生する。しかし前述のとおり、再び内合になっただけでは、太陽面通過は起きない。軌道平面の交点上で内合が起きる必要がある。 地球が軌道平面の交点を通過するのは、半年(0.5年)おきである。よって、ある時点に太陽面通過が起きたとすると、次に太陽面通過が起きる可能性がある時期は、0.5年の整数倍経過後に限られる。前回の太陽面通過から8年経過したとき、これは0.5年の整数倍であり、なおかつ会合周期のちょうど5回分である。よって、内合になる・交点上にあるという2つの条件を満たすことができる。近年、2回の太陽面通過が8年の間隔で起きているのはこの理由による。しかし、8年経過後に全く同じ位置に金星が戻るわけでなく、前回の位置からわずかなズレが起きる。正確には8年よりも2.45日早く、内合が訪れる。8年間隔の太陽面通過が2回しか起きないのは、このズレが蓄積することによる。16年後にはズレは大きくなり、内合する金星は太陽面を通らず、太陽面通過は発生しなくなる。 一方で、会合周期を66回繰り返すとほぼ105.5年経過となる。これも0.5年の整数倍となっている。近年の発生間隔に105.5年があるのは、この周期によるものである。また、会合周期を76回繰り返すとほぼ121.5年となる。近年の発生間隔121.5年はこの周期によるものである。 発生の日付は現在では6月7日頃と12月9日頃だが、この日付は年代と共にゆっくりと遅い時期になっていく。年代を遡るともっと早い時期に起きており、1631年以前は、この日付は5月か11月であった。これは、太陽暦の1年(太陽年)は地球が太陽を正確に1周するのにかかる期間(恒星年)よりも少し短いためである。 8年、105.5年、121.5年以外の間隔でも、太陽面通過は発生する。例えば、113.5年、129.5年、137.5年といった間隔でも起きる。これらの年数は、会合周期71回、81回、86回に相当する。現在の「8年、105.5年、8年、121.5年」という間隔も、全体で見れば 8 + 105.5 + 8 + 121.5 = 243年 (5 + 66 + 5 + 76 = 152回)という1つの周期に相当する。546年から1518年までは太陽面通過は8年、113.5年、121.5年という間隔をおいて起こっており、紀元前425年から546年までは太陽面通過は常に121.5年おきに起きていた。現在の「8年、105.5年、8年、121.5年」間隔は、1396年から始まり、3089年まで続く。3089年の後は、129.5年後という周期で次の太陽面通過が訪れる。1396年の1つ前は、113.5年前に発生している。 一方、もう一つの内惑星である水星は金星よりも太陽に近いところをより速く公転している。そのため水星の太陽面通過はあまり珍しい現象ではなく、20世紀と21世紀にはそれぞれ14回ずつ起こる。
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