珍しい現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/18 07:43 UTC 版)
「ハリケーン・カタリーナ」の記事における「珍しい現象」の解説
熱帯低気圧は一般的に、熱帯収束帯の両側の低緯度地域のうち、強い上昇気流が発生する水温が高い地域で発生するため、熱帯収束帯や水温が低い地域では発生しない。しかし、好条件が整えば発生することがあり、過去には1991年にアンゴラ沖で発生例があった。カタリーナの場合、水温は熱帯低気圧の発生に必要だとされる26.5℃に近い温度であり、強い気流を起こす十分な傾圧があったため、好条件が整っていた。南大西洋で熱帯低気圧の発生例がないといっても、気象衛星によりこの地域がカバーされたのは1970年代で、これ以前の観測では十分なデータが得られないため、1970年代以前には発生していた可能性もある。 いずれにせよ、この海域での熱帯低気圧の発生は珍しい現象であることに変わりはなく、気候変動や地球温暖化との関連、あるいは南極振動(AAO)などの南半球での季節的な気候変化(テレコネクション)の影響などが、研究者間やメディアにおいて取り上げられたものの、まだ研究途上にある。 ただし、カタリーナの場合、中心部の温度が周辺部よりも低いこと、雲の上部と下部で回転方向が同じことなど、熱帯低気圧というよりもそのもととなる積乱雲の塊(熱帯性暴風)に近い特徴も示している。はっきりと現れた目についても、目は温帯低気圧でも発生しうることが確認されている。南大西洋においては、「熱帯低気圧」ではなく「熱帯性暴風雨」の発生は、毎年何回も確認されているため、カタリーナを熱帯性暴風雨と考えれば珍しい現象ではない。しかし、カタリーナは「熱帯低気圧」と「熱帯性暴風雨」の両方の性質を持つ「ハイブリッド型」ではないかという見方があるほか、温帯低気圧として発生したものが熱帯低気圧に変質したという見方などがある。ただ、その後の気象学会等でもカタリーナが一体何であるかは結論が出なかったという。 また、NHKスペシャルの「気候大異変」では、「地球シミュレータはカタリーナ発生の1年前に南太平洋で熱帯低気圧が発生することを予知していた可能性があった」と伝えられた。しかし、このデータは1979年~1998年の観測データを再現したシミュレーション結果であり、予測されていたわけではないとの指摘がある。
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