貴人を敬って言う代名詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 23:52 UTC 版)
殿(との)は、貴人を敬って言う代名詞である。 元々は貴人の邸宅のことを指す語であるが、婉曲的にそこに住む貴人のことを指す。近代以前の日本では、人の名前を呼ぶことは非礼にあたり、特に公家や武士は相手を呼ぶときに官職名や相手の邸宅がある地名に殿をつけることが多かった。その呼称が家名として定着する。 単に「殿」という表現は平安時代には摂政や関白を指していたが、次第に天皇だけを表していた「御所」という呼称が上皇や大臣クラスの公卿にも拡大して使われるようになる。それに伴い、「殿」という語も拡大して貴人一般を指す敬称になった。また、殿という敬称は武士の時代には主君のことを指すようになった。室町時代にあっては御所、屋形などに次いで尊い敬称となった。江戸時代には大名や旗本を敬っていう語となり、それ以下の身分の者が称することは禁じられたが、農村では国人などの系譜を引く中世以来の有力豪農の隷属下にある人たちが主人を「殿」、子弟を「若殿」と呼ぶこともあった。 また、貴人だけでなく、女性が男性を(特に妻が夫を)敬って呼ぶ言葉としても使われた。今日でも「殿方」という言葉にこの用法が残っている。
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