貪食・殺菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 04:22 UTC 版)
感染巣に到達した好中球は、細菌類への接触から貪食を行い、飲み込んだ細菌類を殺菌する。 好中球は細菌類に接触すると、細菌表面分子に対応する各種レセプターを介して異物と認識し、接着結合する。 しかし、細菌類の捕捉認識は細菌表面分子だけでは不十分なことが多い。その場合は細菌類に接合し好中球の捕捉を促進する物質が必要である。その物質をオプソニンと言い、特に重要なのはIgG抗体である。また、細菌類に接合し、活性化した補体成分C3bも好中球が細菌類に接合する過程で重要である。IgG抗体や活性化補体C3bなどのオプソニン物質が細菌表面に結合していることを「オプソニン化」と言い、好中球はIgGのFc部分に対するFcレセプター(FcγR)およびC3bに対する補体レセプターなどのオプソニン物資に対応するレセプターを持っているので、オプソニン化された細菌類は特に好中球に捕捉されやすい。好中球は必ずしも単独で細菌類に対処するのではなく、各種免疫反応にもサポートされて生体防御を行う。 結合した細菌類は、好中球形質膜がこれを包むようにして、好中球内に取り込む。好中球内で細菌類を取り込んで裏返しになった細胞膜の袋を食胞という。 細菌類を取り込んだ食胞は顆粒と融合し、顆粒内要物が食胞内に放出される。 顆粒内容物が放出された食胞内で細菌類は2つの手段で殺菌される。1つは酸素依存性の機構で、NADPH酸化酵素系の働きで活性酸素や過酸化水素を発生させ食胞内にて殺菌する。アズール顆粒に含まれるミエロペルオキシダーゼは過酸化水素(H2O2)と塩化物イオン(Cl-)から次亜塩素酸(HOCl)を産生する。細菌は、酵素反応によって生じたHOClにより、効率的に殺菌される。 もう1つは非酸素依存性の機構で、顆粒から放出される殺菌性酵素(ラクトフェリン、リゾチーム、エラスターゼなど)などで殺菌・分解する。 細菌類を飲み込んだ好中球はやがて死亡し、死体は膿になって体外に放出されるか、組織内のマクロファージなどにより処理される。
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貪食・殺菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 07:10 UTC 版)
感染巣に到達した好中球は、細菌類への接触から貪食を行い、飲み込んだ細菌類を殺菌する。 好中球は細菌類に接触すると表面のレセプターを介して異物と認識し、接着結合する。結合した異物を好中球形質膜がこれを包むようにして、好中球内に取り込む。 好中球内に取り込まれた細菌類は、3つの手段で殺菌される。一つは、酸素系の働きで活性酸素や過酸化水素、次亜塩素酸を発生させて殺菌する。もう一つは、顆粒から放出される加水分解酵素などで殺菌する。さらに近年NETs(neutrophil extracellular traps)と呼ばれるクロマチンの網を形成して微生物をとらえることが知られている。 細菌を飲み込んだ好中球はやがて死亡し、死体は膿になって体外に放出されるか、組織内のマクロファージなどにより処理される。 生体防御の過程について、より詳しくは好中球項目を参照のこと。
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