譲渡可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 06:42 UTC 版)
所有物が譲渡可能か不可能か(譲渡可能性、英: alienability)によって異なる所有表現を用いる言語がある。 譲渡可能 (alienable) とは、所有者が所有物を自分から離し別の誰かに移転しうることである。譲渡不可能な所有物には親族や身体部位が通常含まれ、その他言語によっては家畜、カヌー、マチェーテなどが譲渡不可能な所有物として扱われることもある (Payne 1997:105)。 たとえば "John's big nose"(ジョンの大きな鼻)は普通、譲渡不可能であって、多くの言語ではこの区別があるが、英語には特にない。英語で "I have my dad's big nose." という言い方がある(日本語にはこの言い方はない)が、これは「父の大きな鼻」という遺伝的性質のことをいっており、「私は父譲りで鼻が大きい」という意味になる。もしこれが譲渡可能であれば、「父の鼻を移植した」ことになる。 次のンジュカ語(スリナムのクレオール)の文においては、a wagi fu mi「私の車」が譲渡可能な所有であり、mi baala「私の兄」が譲渡不可能な所有の例である (Payne 1997:105)。 a wagi fu mi de gi mi baala. 定性 車 のための 私 である 与える 私 兄 「その私の車は私の兄のためのものだ」 ポリネシア諸語の所有は所有者と所有対象の関係に応じて分類され、o-クラスとa-クラス(それぞれ所有マーカーo、a[前置詞にもなる]で表す)と呼ぶ。所有代名詞もこれらに応じてo-クラス、a-クラスおよび中立クラスに分けられる。o-クラスの所有は所有者が所有を始めたり終えたりすることのできない(つまり譲渡不可能)関係に用いる。例えば、マオリ語聖書では Te Pukapuka a Heremaia(エレミヤ書:エレミヤが書いたといわれる本)と Te Pukapuka o Hōhua(ヨシュア記:他の人がヨシュアについて書いた本)を区別する(日本語ではどちらも「誰々の本」と言える)。
※この「譲渡可能性」の解説は、「所有 (言語学)」の解説の一部です。
「譲渡可能性」を含む「所有 (言語学)」の記事については、「所有 (言語学)」の概要を参照ください。
譲渡可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 03:36 UTC 版)
日本語と同様の膠着語であるが「の」にあたる助詞が2種類あり、譲渡可能な場合と不可能な場合に分かれる。例えば mini sura-ɲu-bi「私のノミ」という場合は譲渡可能で、mini čiktə-bi「私のシラミ」といった場合は譲渡不可能といった具合である。
※この「譲渡可能性」の解説は、「ウィルタ語」の解説の一部です。
「譲渡可能性」を含む「ウィルタ語」の記事については、「ウィルタ語」の概要を参照ください。
- 譲渡可能性のページへのリンク