警固断層沿いの被害集中地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 08:46 UTC 版)
「福岡県西方沖地震」の記事における「警固断層沿いの被害集中地域」の解説
福岡市中心部では地域により被害に差が見られた。福岡市中心部の建物被害は大名、薬院、今泉、警固、舞鶴の各地区を中心とする狭い地域に集中した。これらは後述のように、いずれも警固断層のすぐ東側の地域である。壁の亀裂や剥離、扉の変形などの被害が報告されており、外見上は一部外壁の剥離程度であっても内部の壁にはせん断破壊に伴う亀裂が入った建物があった。中には、扉が変形して避難が難しくなったために隣人の助けを借りて窓から脱出したというケースもあった。一方で、1キロほど離れた天神のビル街では比較的被害が軽微となった。 また一部では、建造物の倒壊の恐れがあるとして周辺の住民に避難勧告が出された。中央区大名、舞鶴、博多区下呉服町、千代の4か所で、対象は合計51世帯87人に及んだが、4月上旬までに解除されている。なお、4月20日の余震でも外壁の崩落が相次いで発生している。 本震による表面最大加速度を見ると、天神5丁目にあるK-NET福岡観測点では南北277gal、東西239galであったのに対し、大名2丁目の観測点では南北489gal、東西310galと、地震動が大きかったと考えられる。 この違いの原因として、警固断層沿いの地下構造の影響が指摘されている。福岡市を縦断する警固断層を境に、西側は地盤の柔らかい堆積層が20メートルほどと薄い一方、東側は50メートルほどと厚く、警固断層の東縁では100メートル程度となっている。堆積層の厚い地域では、表層地盤増幅率が高く地震の揺れが増幅されるほか、基盤の深さに変化のある不整形構造の境界部では地震動が増幅されることが知られている。断層東側の堆積層の厚い地域は幅約500メートル程度あって、被害が大きかった地域と重なっており、地震後の地質調査でも影響を裏付ける結果が報告されている。また、福岡市の南部や春日市でも建物被害が多く報告されている地域があるが、同様に堆積層の厚い地域だった。
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