諮問的機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 06:11 UTC 版)
もともと欧州議会は、シューマン宣言の原文において言及されていなかった。しかしながら欧州石炭鉄鋼共同体設立条約の協議において、民主的正当性を与えつつ、政策執行機関との均衡を図り、また監視する機関として独立した会議体を取り入れることで合意がなされた。欧州石炭鉄鋼共同体設立条約において、各国の指導者は「市民の代表」という表現を用いて普通の諮問機関以上の会議体が設置されることを望み、また直接選挙の実施という含みを持たせた。欧州政治共同体の設立のための条約起草が任されたことで、共同総会の草創期における重要性が示された。1952年9月13日、条約起草に関する「特別」会議が設けられたが、欧州防衛共同体構想が断念され、この会議体が使命を果たすことはなかった。 欧州政治共同体構想は断念されたものの、1958年にはローマ諸条約の発効により欧州経済共同体と欧州原子力共同体が発足する。欧州石炭共同体を含めた3つの共同体では、政策執行機関はそれぞれ別であったものの、諮問会議は共有するものとされ、その名称も「欧州議員会議」に改められた。1967年の統合条約の発効により3共同体の運営機関が統合されるが、その以前である1962年に欧州議員会議の名称は現在の「欧州議会」に改められている。1970年、欧州議会は共同体の予算の一部の分野に関する権限が与えられた。1975年にはその範囲が拡張されて、予算全般に関する権限を有するようになった。欧州経済共同体設立条約では、欧州議会は選挙で選出されるものと規定していた。ところが選挙の実施には理事会において、加盟国間で統一した選挙制度を策定する必要があったが、なかなか策定できずにいた。欧州議会は理事会に対して、欧州司法裁判所に提訴すると警告した。これによって理事会は選挙の実施については合意したが、選挙制度の問題についてはさらに先送りにした。
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