話題マーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 21:36 UTC 版)
日本語においては、助詞「は」が話題マーカー(主題標識)として使用され、格マーカーの「が」「を」「の」と入れ替わったり、「から」「で」「と」などに付いて「からは」「では」「とは」などという形で、さまざまな句や節を話題化できる。 ジョンはビルにメアリーを紹介した。 メアリーはジョンがビルに紹介した。 ビルにはジョンがメアリーを紹介した。 長崎からはそのバスが福岡に行く。 福岡にはそのバスが長崎から行く。 長崎までは電車で行きます。 京都では大きな祭りがあります。 田中さんとは3ヶ月前に会いました。 バラが咲くのは5月です。 クラスに来なかったのは病気だったからです。 「バラが咲くのは」「クラスに来なかったのは」の「の」は補文マーカーである。所有格マーカーの「の」を含む例文は、#分離話題化を参照。 また、「...は」という形になった名詞句は代名詞と入れ替わったり、頻繁に省略される。例えば、「彼が学生です」→「彼は学生です」→「学生です」など。また、「彼、学生です」のように、口語では無助詞になることが多い。 ただし、日本語で話題化できるのは既知情報(旧情報、定情報)であり、新情報を要求する「誰」「何」「どこ」「いつ」などのwh要素とともに話題マーカーを使用すると非文になる。 誰が 本を 読んだ? *誰は 本を 読んだ? 日本語の「は」は、話題マーカーとしての機能以外にも、総称や対比を表す機能を持っているが、それらも話題化機能に含まれるという見方もある。また、強調を表すこともできるという指摘もある。なお、「は」が話題を示す際、その句には強勢が置かれない。 朝鮮語(韓国語)には、「은」(/ɯn/)/「는」(/nɯn/)という話題マーカーがある。直前の語が子音で終わる場合(子音体言)には「은」、母音で終わる場合(母音体言)には「는」が使用される。なお、「은」/「는」が話題句を表す場合には強勢が置かれず、強勢が置かれると話題ではなく対照(対比)を示すことになる。 朝鮮語においても、いったん話題化された名詞句が省略されたり、wh要素+話題マーカーが非文になるなど、日本語と朝鮮語の話題マーカーにはいくつかの共通点がある。例えば、「*誰は 本を 読んだ?」を朝鮮語で書くと、次のようにやはり非文になる(語順は日本語と同じ)。 *누구는 책을 읽었어요? *nwukwu-nun chayk-ul ilk-esseyo? ルーマニア語においては、目的語が話題化で文頭に移動する際、前置詞「pe」が起生して前置詞句になる場合と、そうでない場合があるが、後者はゼロ前置詞を伴う前置詞句だという捉え方もできる。
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