評論家としての功績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 06:49 UTC 版)
日本におけるクラシック音楽受容を語る上で、宇野の影響は無視できない。たとえば日本では長年、色物的な扱いに甘んじていた指揮者、ハンス・クナッパーツブッシュを風潮にとらわれず長年にわたり一貫して評価したことは、クナッパーツブッシュのディスクがレコード店の店頭から消え去るのを防ぐ一助となった。 また宇野が著書『名演奏のクラシック』(1990年、講談社現代新書)で褒めちぎったピアニストであるエリック・ハイドシェックは、それ以後日本での演奏機会が激増し、廃盤になっていた数多くのディスクも再発売された。ハイドシェックの来日公演の際、宇野は指揮者として、ピアノ協奏曲(「皇帝」と「K595」)の伴奏も務めている。 また日本人指揮者では朝比奈隆を支持し続け、20世紀末には「朝比奈ブーム」とも言うべき社会現象を巻き起こした。それを通じて、朝比奈が得意としていたブルックナーをクラシックファンに浸透させていった業績も見落とすことができない。 他にはオットー・クレンペラー(宇野が擁護した頃は、実は日本での現役盤が極めて少なかった)やロヴロ・フォン・マタチッチ、エフゲニー・ムラヴィンスキーなど、いわゆる「スケールの大きな演奏をする演奏家」「個性的な演奏をする演奏家」を擁護している。逆に、一見淡々としているがニュアンスや香りの深い演奏家にも好意的であり、クレメンス・クラウス、カール・シューリヒト、オトマール・スイトナー、ポール・パレーらが挙げられる。 ハイドシェック賛美に関しては、黒田恭一や渡辺和彦らが直接的ではないものの、宇野の賛美を遠まわし的に嘲笑する発言をしている(特に渡辺は、「日本の一部でのみ支持者がいるハイドシェック…」と暗に宇野の存在をにおわす発言をしている)。
※この「評論家としての功績」の解説は、「宇野功芳」の解説の一部です。
「評論家としての功績」を含む「宇野功芳」の記事については、「宇野功芳」の概要を参照ください。
- 評論家としての功績のページへのリンク