診療科に属する医師の需給不均衡による不足および医学部医学科の高額な学費
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 14:59 UTC 版)
「医師不足」の記事における「診療科に属する医師の需給不均衡による不足および医学部医学科の高額な学費」の解説
内科、外科、麻酔科、小児科、産科、救急、総合診療科は過酷な勤務状態にあり、転科したり、そもそも私立大学医学部医学科の高額な学費により志望する医学生が減ってきている、私立大学医学部医学科の高額な学費が原因で家庭の所得格差による医学生の質の低下や近年では厚生労働省や教授会の苦渋の決断により「国公立大学医学部医学科受験による多浪」や「苦学生のアルバイト等による多留年」が黙認される事例もある。 2004年から始まった新医師臨床研修制度において2年間の間に複数の科を研修するスーパーローテート式の臨床研修が事実上義務づけられた。それまでは大学卒業後にそのまま志望科の医局に入局していた。この状況は言い換えるならば新人医師は自分の志望科の具体的な勤務状況をイメージ出来る前に選択していたのだが、研修制度により希望の有無を問わず様々な科にも診療を行う必要が生じた。そのため、志望科の過酷な医療状況を目の当たりとし、志望を変えるケースもある。特に産科は福島県立大野病院産科医逮捕事件の影響から、「逮捕されるリスクがある」との認識が広がっており、産婦人科が産科を廃止したり、医学生が志望の選択肢から産婦人科を除外する傾向が強くなった。 また、従来の勤務医も、過酷な労働条件に耐えかねて退職や開業をしたり「フリーター化」する医師が増え、勤務条件の悪い総合病院等の特定診療科における医師不足の拍車をかけている。たとえば、女性医師の増加により、家庭と育児の両立が可能な勤務形態が望まるなか、それが実現していない科はますます不人気になり、よりいっそう労働環境が悪化するといった悪循環が見られる。 この結果(実際に医師が増えている診療科は保険適用が効かず最も高額な自由診療報酬が得られる美容整形外科、美容皮膚科、高齢化で重要性の高い診療科で保険適用範囲の曖昧さにより高額な自由診療報酬にならざるを得ない訪問診療科や内視鏡・内科・外科、透析科、精神科などであると一般には考えられている。)、眼科等の診療科に医師が流れていると報道された。ただし日本眼科医会は、根拠のないものであるとして反論している。 2008年4月から病理診断科、臨床検査科は標榜診療科になったが、そこに働く病理専門医や臨床検査専門医も絶対数が不足している。また監察医や解剖医も医師が不足している。
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