設計と設置場所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/04 14:21 UTC 版)
「アタカマ宇宙論望遠鏡」の記事における「設計と設置場所」の解説
ACTは、6mの主鏡と2mの副鏡を持つ、オフ・アクシズ (off-axis ; 望遠鏡の光学的対称軸が装置の中心軸と一致しない) グレゴリー式望遠鏡である。どちらのミラーも分割式であり、主鏡は71枚、副鏡は11枚のアルミニウム製パネルから構成される。観測中に、回転する星野を追尾する他の望遠鏡と異なり、典型的には5°幅の星野のストリップ(細長い領域)を、アジマス方向(水平方向)に、毎秒2°という相対的に速い速度で、行きつ戻りつしながら観測する。望遠鏡の回転部分は約32トンの重さがあり、技術的には相当の困難を引き起こした。望遠鏡の周囲に配置されたグランド・スクリーンが、地表から放射されるマイクロ波による受信信号の汚染を最小限に抑えるようになっている。望遠鏡の設計、製造および建設は、カナダブリティッシュコロンビア州バンクーバーにあるDynamic Structuresにより行なわれた。 観測は、3つの周波数145GHz、215GHzおよび280GHzで行なわれ、分解能は約1分角(アークミニット=1/60°)である。各周波数は、それぞれ3cmx3cmの1024素子アレー検出器で測定されるので、検出器の総数は3072個である。検出器は、新技術の超伝導転移端センサー(TES)であり、その高感度はCMBの温度を数万分の1Kの誤差で測定することを可能にする 。この検出器は、低温ヘリウム冷却システムによって絶対温度1/3Kに保たれている。 現在予定されているサーベイでは、ACTは約200平方度の星野の地図作成を行なうことになっている 。 大気中の水蒸気がCMBの測定を汚染するマイクロ波を放射するので、アタカマ砂漠のアンデス山脈中のチャナントール(Chajnantor)平原という、乾燥した高高度の(しかも、アクセスも比較的容易な)置局は、望遠鏡にとって利益がある。Cosmic Background Imager (CBI)、ASTE望遠鏡、なんてん、Atacama Pathfinder Experiment (APEX)および アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (ALMA)を含む、他のいくつかの天文台もこの地域に置かれている。
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