観音原団地(広島市東区)
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「地図混乱地域」の記事における「観音原団地(広島市東区)」の解説
山陽自動車道広島東IC南側、福田3丁目に位置する、広島市東区内の住宅地区である。1969年(昭和44年)に宅地造成業者が当地区の山林や農地12 haを買収し、350区画の宅地を造成した。 もともと山林24筆、農地53筆の土地で、所有者は50人あまりだった当団地は、宅地造成によってそれぞれ311筆、139筆に分筆され、合計450筆の土地に生まれ変わった。しかし、法務局にある古い公図を新しく描き変えるための地積測量図の作成を怠った上に、宅地への転用手続きが済んでいない農地や国有地を勝手に取り込んで造成し、でたらめな地番をつけて販売した。一方で法務局もこれを見抜けず、実態調査も行わずに登記申請を受け付けたという。 このために、登記簿に表示された地番の土地面積が実際とは食い違い、一つの宅地に複数の所有者が存在する事例や、79筆もの不存在地が登記される事例がみられた。1970年代半ばから所有権をめぐる紛争が続発する中で、地区内の私道を市道編入できず、上下水道の整備も進まなかった。そのため各家庭では、井戸掘りや道路補修を私費で行って生活を続けていた。 この異常事態を解消すべく、民法162条に基づき、土地購入後10年以上占有する(その土地に住む)住民の所有権を確認したうえで、集団和解により新地図を作成する目的を掲げ、1986年(昭和61年)より4回にわたって、住民300人強が訴訟を提起。1991年(平成3年)に広島地裁で判決が下り、原告住民の所有権が無事に確認された。
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