西洋の家父長制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 16:14 UTC 版)
フランス民法典原始規定に夫を家長として権利を集中する近代家父長制の典型がみられた。徐々に女権拡張の方向で改正され、1985年の改正で妻の財産に対する夫の管理権(旧1428条)が改正され消滅。 家父長制とキリスト教の関係について、イエス・キリストの言ではないが、新約聖書の中には妻の夫に対する服従を説くものがある(コリントの信徒への手紙一11章9節、エフェソの信徒への手紙5章22節)。婚姻関係を中核とするキリスト教的家父長制の基礎は聖アウグスティヌスによって体系化され、女性の地位は神学的に引き下げられた。もっとも、歴史人口学者のエマニュエル・トッドの考察によると、プロテスタントは非常に「家父長制」的なところがあり、それに比べるとカトリックは曖昧である。実際に、プロテスタントのイギリスは同時代(江戸)の日本をはるかに凌駕する極端な男尊女卑の家父長制だったといわれる(中村敏子)。しかし、男性優位の法制度はウィリアム・グラッドストンによって1870年に改められ、妻の訴訟能力や特有財産を認めて欧州諸国を驚かせた。 1794年のプロイセン法典も後続のフランス民法典に比べると若干女性尊重の傾向を見せており、1900年のドイツ民法典では不徹底ながら女権拡張の方向に舵を取っている。
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