被災地への送付に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 14:24 UTC 版)
「千羽鶴」の記事における「被災地への送付に対する批判」の解説
生活物資でない千羽鶴を被災直後の被災地に送る行為は、現地の限られた運搬能力や労働力を無駄に割かせることになる上、処分にも多額の費用が掛かるとして批判がある。東日本大震災や熊本地震以降、たとえ善意であっても処分するしかない千羽鶴を送られることは避難所での負担になるという指摘が被災経験者から行われるようになった。 評論家の荻上チキは著書「災害支援手帖」の中で、実際にあった「困った救援物資」の例として、寄せ書きや千羽鶴を挙げている。 駒澤大学准教授の山口浩は、「鶴を折ることが問題ではなく、被災地に送られることで負担を増してしまうのが問題」と評した上で、「自分の家に飾っておき、復興後に送る」「被災地以外で集めて保管し、復興後に送る」「ボランティア時に持参し、持ち帰る」といった手段を提案している。 熊本市復興総室室長はITmedia(ねとらぼ)の取材に対し、熊本地震の際に千羽鶴が送付されたのは災害発生直後ではなく現場が落ち着いた頃からが中心であり、千羽鶴の廃棄に困ったという話・報告は聞いたことがないとした上で、「現時点(被災直後)に千羽鶴や色紙を送るのは迷惑になるのでやめるべきであるほか、そもそも現場のマンパワーが不足している状況であるため、個人からの支援物資を送ること自体をやめた方がいい」としている。 日テレは、ツイッターの「被災地いらなかった物リスト」の話題を取り上げた。リストでは千羽鶴がいらなかった物の1位だった。 幾度も被災地を訪れている村本大輔は地元の人たちと一緒に飲み本音を聞いた。被災地の人は真っ先に千羽鶴を挙げ、何万羽の鶴が来て置き場所に困るが捨てることもできず仕事が増えるから勘弁してほしいとの怨嗟の声を紹介した。 気をつけるべき点として、被災地から千羽鶴は要らないと言われると被災者に腹を立てて攻撃的な言動をする人達が一定数、存在することである。 義援金や支援物資よりも精神的な支援の方が大切だという考えは日本に限らない。通海地震では食料、物資、義援金は不要とされ代わりに慰問の手紙、毛沢東の肖像画や語録やバッジなどの精神的支援が行われた結果、被災者は食べるものがなかった。
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