著作権の回復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 00:57 UTC 版)
「ウルグアイ・ラウンド協定法」の記事における「著作権の回復」の解説
米国がベルヌ条約に加入したのは1989年3月1日であり、その時にベルヌ条約履行法(英語版)が施行された。ベルヌ条約第18条によれば、同条約の対象とするのは、著作物であって、本国においてなおその著作権が有効であり、かつ、著作権が主張される国において従前当該国で認められていた著作権の保護期間満了を理由にパブリックドメインに属したわけではないものである。したがって、米国は過去に同国で著作権が認められていなかった外国著作物に対しても著作権を認めなければならなくなるところであった。しかしながら、米国はベルヌ条約に定められたこの遡及効を否定し、1989年3月1日より公表された著作物についてのみ当該ルールを適用することとした。過去の外国著作物で、他の条約において対象とされておらず、かつ、その当時まで米国において著作権の対象でなかったものは、米国では引き続き著作権の対象とならないものとされた。 米国は、第18条に規定されたベルヌ条約の遡求効の一方的な破棄について厳しい批判[誰?]に直面し 、結局、この立場を変更することとなった。ウルグアイ・ラウンド協定法により合衆国法典第17編第104A条において実施された著作権の変更は、この状況を修正し、米国の法律をベルヌ条約の趣旨に沿ったものとした。 合衆国法典第17編第104A条は、過去に米国において著作権が認められたことのない多くの著作物について著作権を認めている。これらの著作物は、通常の米国著作権法の規定に服し、あたかもかつてパブリックドメインにおかれたことがないかのように取り扱われる。 この対象となった著作物として、米国と当該著作物の本国との間で著作権に関する国際的合意がなされていなかったこと、または、米国法上の著作権登録および著作権表示がなかったことのいずれかの理由で、パブリックドメインにおかれていた著作物がある。また、同様に対象となった著作物として、かつて米国法上の著作権が認められていたものの、著作権の更新が行われなかったためにパブリックドメインにおかれた著作物もある。ウルグアイ・ラウンド協定法では、これらの対象となった著作物全てを「回復著作物」(restored works)として定義し、これらの著作物に認められた著作権を「回復著作権」(restored copyright)として定義した。もっとも、これらの著作物の多くはそもそも「回復」されるべき米国法上の著作権が認められたことがない。 著作権回復が実施されたのは1996年1月1日であり、同日時点でベルヌ条約、世界貿易機関 (WTO)、WIPO著作権条約または(録音については)WIPO実演・レコード条約のいずれかに加盟する国を本国とする著作物の著作権が回復された。それ以外の国を本国とする著作物の著作権回復については、当該国がこれら4つの条約のうちの1つに加盟した最も早い日をもって実施された。 著作権回復から除外されたのは、外国著作物であって、外国人財産保管所(英語版)により所有されまたは管理されたもので、かつ、回復著作権が政府または政府関連機関により所有されることとなる場合である。
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