落とし穴
*関連項目→〔穴〕
『二十四の瞳』(壺井栄) 子供たちがいたずらで掘った落とし穴に、大石久子先生が落ちる。子供たちは手をたたいて笑うが、大石先生はアキレス腱を切って、動けなくなってしまった。大石先生は入院し、退院後は自宅で療養して、なかなか学校へ出て来ない。大石先生の受け持ちの小学1年生12人は、8キロ離れた大石先生の家まで、歩いて見舞いに行く。皆は大石先生の家でキツネうどんをご馳走になり、一本松の所で記念写真を撮って、帰って来た→〔写真〕9。
『王書』(フェルドウスィー)第2部第7章「ロスタムの最期」 シャガードは異母兄ロスタムを殺すために、いくつもの落とし穴を作り、鋭い槍や剣を底に立てておく。ロスタムの乗る名馬ラクシュが、掘りおこされたばかりの土のにおいを怪しんで、歩みを止める。ロスタムはラクシュを前進させようと鞭打ち、穴に落ちて死ぬ。
『太平記』巻13「北山殿謀反の事」 西園寺公宗は北山の邸宅に湯殿を造り、板の間を踏めば落ちるように仕掛けて、その下に刃を鉄菱のごとく植え並べた。「北山の紅葉を御覧においで下さい」と言って後醍醐天皇を招き、浴室での酒宴を勧めて暗殺しようとたくらんだのである。しかし後醍醐天皇の夢に、神泉苑の龍神の化身の女が現れて危険を告げ、さらに「公宗に謀反の企てあり」との注進もあったので、天皇は行幸を取りやめた。
*つり天井を仕掛けて、将軍暗殺を企てる→〔天井〕2の『伊賀の影丸』(横山光輝)「若葉城の巻」・宇都宮城の釣天井の伝説。
『今昔物語集』巻1-12 勝蜜外道が仏を殺そうとたくらみ、屋敷の門内に深く広い穴を掘る。穴の底に火を置き、剣を立て並べ、上に薄板をしいて砂をかけ、仏を招待する。仏が門内に入ると、穴の中から大きな蓮華が咲き、仏はその上を歩いて無事であった。
『隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)』「三囲(みめぐり)土手の場」 色と欲の破戒僧法界坊は、吉田家の重宝「鯉魚の一軸」を手に入れ、三囲土手で永楽屋の娘お組を口説こうとする。邪魔者が現れたら落とし入れるべく、法界坊は穴を掘る。そこへ吉田家の旧臣甚三(じんざ)が来たので、法界坊は「鯉魚の一軸」を見せびらかして逃げるうち、自分が掘った落とし穴に落ち、甚三に斬られて死ぬ〔*自業自得の物語。*→〔自縄自縛〕3に関連記事〕。
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