航洋護衛艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 13:47 UTC 版)
戦間期のイギリス海軍は、ロンドン海軍軍縮条約での制約が駆逐艦よりも緩いスループを船団護衛に充当する方針としていた。しかしスループはいずれも従来の軍艦を踏襲した複雑な設計を採用しており、第二次世界大戦勃発に伴う戦時急造への対応は難しかったため、まず局地防衛用として、捕鯨船の設計を発展させたフラワー級コルベットが建造された。戦局の窮迫を受けて、同級は当初想定されていた近海域に留まらず、大西洋の戦いに広く投入されていったが、局地防衛艦ゆえの艦型の小ささと速力の遅さによる外洋行動能力の低さが顕在化したことから、より大型で外洋行動に適し、しかも量産性に優れた護衛艦が求められることとなった。 これに応じて建造されたのがリバー級であり、当初は「高速コルベット」、後に「二軸コルベット」と称されていたが、1943年2月、コルベットより上位の軍艦として「フリゲート」と再種別され、近代型フリゲートの嚆矢となった。アメリカ海軍では、駆逐艦に準じた構造で同様の任務に充当するための護衛駆逐艦(DE)とともに、リバー級に準じたタコマ級フリゲート(PF)も建造した。当初、フリゲートは2等スループとみなされていたが、戦後には、長距離航洋護衛艦が広くこのように称されるようになった。 ただし、駆逐艦など、他の艦種との区別は当初より不明瞭であった。現在では、ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会(USNI)の「コンバット・フリート」など第三者による年鑑では、巡洋艦や駆逐艦より小さく、コルベットより大きい水上戦闘艦を表す一般的なカテゴリとして用いられている。これらの年鑑では運用当事者による分類を加味しているが、国際戦略研究所の年報「ミリタリー・バランス」では、満載排水量1,500~4,500トンの戦闘艦を一律にフリゲートと類別している。
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