自主規制と修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 08:13 UTC 版)
「キング・コング (1933年の映画)」の記事における「自主規制と修復」の解説
1933年の公開後、ハリウッドではヘイズ・コードに基づく自主規制が行われ、その結果『キング・コング』の複数のシーンが本編からカットされた。カットされたシーンの例としては「ブロントサウルスが水上で船員たちを襲い、木の上に逃げた船員を食い殺すシーン」「コングがアンの服を脱がして指の匂いを嗅ぐシーン」「コングが先住民を食い殺したり踏み潰すシーン」「ニューヨークでコングが男性を嚙み殺すシーン」「コングがアンと間違えた女性を掴み上げ、その後放り投げて殺すシーン」などが挙げられる。また、「巨大な昆虫やクモ、爬虫類、触手状の生物が、谷底に落ちた船員たちを食い殺すシーン」が追加撮影されていたが、「グロテスク過ぎる」と判断したRKOの指示で、公開前に本編からカットされた。このカットされたシーンについては数枚のスチール写真とプリプロダクション時の描画が残っているだけで、映像は「永遠に失われた」とされている。 RKOはカットしたネガフィルムを保管していなかったため、自主規制でカットされたシーンは失われたものと考えられていた。しかし、1969年にフィラデルフィアでカットされたシーンを含んだ16mmフィルムが発見され、このシーンを本編に繋いだことで初上映時の100分間のフィルムに復元された。復元版は1970年にヤヌス・フィルムズ(英語版)配給で再上映された。これ以降、ユニバーサル・スタジオは20年以上の歳月をかけて『キング・コング』の光学修復作業を進めた。修復作業の基になったフィルムは1942年再上映版で、これは1937年に自主規制でカットされたシーンも含まれていたが、「映写時に縦方向に付いた酷い傷」が存在した。1980年代にイギリスで発見されたオリジナル版フィルムには、該当シーンが良質な状態で残っていることが判明している。2005年にワーナー・ブラザースは6年間にわたる世界各地での資料調査を終え、4Kスキャニングによるフルデジタル修復作業が終了した。修復版では4分間の序曲シーンが追加され、収録時間104分間のフィルムとなった。また、1980年代にはテレビ放送用にカラー化され、一部で物議を醸した。
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