職業紹介事業の許可制の趣旨と求人広告の矛盾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 19:34 UTC 版)
「求人広告」の記事における「職業紹介事業の許可制の趣旨と求人広告の矛盾」の解説
手数料を受け取って職業紹介を行う有料職業紹介事業は職業安定法と労働基準法により、中間搾取を防止するため禁止されており、職業の斡旋行為は原則として禁止されるものである。しかし需給機能を強化するため、日本が批准しているILO条約の関係号に則り、適正な事業運営(資本要件、紹介責任者の配置)、個人情報の管理(事務所要件)、求人情報の正確性、公共職業安定所の機能保全などを前提条件として厚生労働大臣による営業許可を得る(中間搾取の禁止から除外)ことができるものとしている。労働者需給機能についてILOは 労働者保護策としては、団結権・団体交渉権の確保、機会均等・均等待遇、労働者の個人データの保護、一定の例外を除き労働者からの費用徴収の禁止、移民労働者の保護、児童労働の使用禁止、労働者の苦情等の調査などのための機構・手続きの確保 — 1997年の民間職業仲介事業所条約(第181号) ILO駐日事務所 としており、職業紹介業が中間搾取違反の除外となる要件として労働者保護を上げている。また職業の斡旋には国内法で規制することを第3条で義務付けている。 1民間職業仲介事業所の法的地位については、国内法及び国内慣行に従い並びに最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上で決定する。2加盟国は、許可又は認可の制度により、民間職業仲介事業所の運営を規律する条件を決定する。ただし、そのような条件が適当な国内法及び国内慣行によって別途規制され又は決定されている場合は、この限りでない。 — ILO第181号条文 第4条では労働者の募集時に団体交渉権などを阻害しないように、いわゆる職業紹介行為をする事業者に対し規制を設けることとしている。 加盟国は、第一条に規定するサービスを提供する民間職業仲介事業所によって募集された労働者が結社の自由の権利及び団体交渉権を否定されないことを確保するための措置をとる。 — ILO第181号条文 しかし労働紛争中や労働問題如何に係わらず募集ができる求人広告により、労働者保護は有名無実化しており、本来公共職業安定所が果たすべき機能をILO条文の第3条に則った国内法または慣行によって規制されていない業種の求人広告が代行する形をとっている。また求人広告業者は第4条の団体交渉権についても規制を受けていない。
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