羽毛恐竜の発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 08:33 UTC 版)
1989年に冷戦が終結すると、多くの化石がかつて発見されていながら冷戦中は西側諸国の研究者が入ることが困難だった東側の中国やモンゴルへの入国が容易になり一気に発掘や研究が進むこととなる。 1995年、ついに念願の羽毛恐竜が中国・遼寧省の下部白亜系熱河層群の化石密集層から見つかった。この化石密集層からはたくさんの完全な動物化石(昆虫、魚、サンショウウオ、ほ乳類、カメ、トカゲ、ワニ類など)や植物化石が見つかっている。今から1億2400万年前、内モンゴルで火山活動が繰り返されたことによって、このあたりには大量の火山灰がもたらされた。細粒な火山灰が生物遺骸の上に降り積もることで、奇跡的に良好な保存状態で化石が残された。そのため、羽毛などの細かな表皮構造もよく保存されたと考えられる。恐竜と鳥類の系統関係を考えるうえで、羽毛と飛行様式の進化理論を考えるうえで、最も重要な発見が羽毛恐竜の化石である。 また、同じ1995年には抱卵している状態のままで保存されたオヴィラプトロサウルス類(キティパティ)の化石が発見された。この化石(右図)によると、彼らは前足を鳥類の翼のように畳み込んで卵や幼体を保護している。この標本からは羽毛の痕跡は見つかっていないものの、現生の鳥類の抱卵の姿勢との類似を考えれば、彼らが羽毛を生やしていた可能性は十分にあり得る。 さらに2007年になって、Norellらはヴェロキラプトルの尺骨から羽柄の付着する瘤を報告した。この特徴はヴェロキラプトルが大きな二列風切羽を持っていたことを示唆している。 このように少なくとも一部の恐竜に羽毛があったということは、直接の羽毛の痕跡だけではなく、骨学的な証拠からも裏付けられている。
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