縄文時代の石錘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 03:38 UTC 版)
縄文時代には漁具として刺突具や釣針、石錘が出土し、魚類の動物遺体も出土している。石錘を用いた網漁は曳網や刺網、投網など多様な形態が想定されているが、縄文時代の各種石錘との関係は不明な点が多い。 縄文時代の石錘は凹部を打ち欠いたものが打欠石錘、擦り切ったものを切目石錘と称され、両者が大半を占める。少数ではあるが、擦切技法により一文字や十文字に溝をつけたものを有溝石錘も存在する。打欠石錘は「礫石錘」とも称されるが、切目石錘と対比する用語としては不適切とする説もある。 打欠石錘は切目石錘に対して大型のものが多いが、100グラムを超える石錘は漁網錘であるのかには議論が存在する。 縄文時代の石錘は各地に分布しているが、形態・重量分布は時代・地域によって多様性が見られ、使用方法もさまざまであったと考えられている。魚網が遺存しにくいため魚網の装着状態は不明であるが、縄文時代の石錘は部位により摩耗状態が異なる箇所が見られる。これを糸巻きの帯状痕跡とする説があるが、一方で東北地方では秋田県横手市に所在する八木遺跡から出土した縄文後期の石錘にはアスファルトの付着したものが多数見られ、アスファルトを用いた装着事例があったと考えられている。 石錘に使用される石材は遺跡周辺から採取可能な礫であることが多いが、奈良県奈良市の大川遺跡や紀ノ川上流の奈良県川上村に所在する宮の平遺跡など、異なる水系の遠方から採集される石材を用いている例も見られる。 日本列島における最古の石錘は、2002年時点で若狭湾に面する福井県若狭町の鳥浜貝塚から出土した縄文草創期の打欠石錘とされる。
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